短編小説

□いちっぺとデート!
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「くそっ…!新しい必殺技が思い付かない…っ」


円堂が苦悩するなか、
風丸はじいっと彼を見つめる。



━━円堂。

辛そうだな…
幼なじみとして何か出来ないかな…。



そう思っていたら
自分の真後ろから2つの騒がしい声が聞こえた。

「なんやなんや〜!円堂の奴、随分煮詰まってるやないの!」

「溜め込んでばっかりだと思い浮かぶ物も浮かばないよな」


「リカ!塔子!」


キャラバン時代の仲間が居た。
風丸は2人と女同士、ということもあり非常に仲が良かった。


「頑張れよな!あたし達の分も!」

「まぁウチはダーリンが居ないならかまへんけど……って、そうや!」

「どうしたリカ…?」


急に目が輝き出して妖しい笑いをするリカを見て風丸は嫌な予感がした。




「アンタ、円堂とデートして来ぃや!」

唐突なリカの発言に風丸と塔子は「はぁ!?」と声を漏らした。



「良い気分転換になるやろ〜!円堂にとっても、な!」

「ん〜…確かに!行って来いよ、風丸!円堂を助けると思ってさぁ」



一方の風丸は状況を理解すると慌て出した。

顔を真っ赤にして。


「ちょ…!オレ、デートなんかした時無いし…!てかそんなんで本当に円堂の手伝いになるのかよ…?」


「「なるなる!」」

やけに楽しそうな2人が強く言うので結局風丸は押し負けた。


「分かったよ…」












次の日。


練習はオフなため、朝早くに風丸は円堂の部屋に行く。


「円堂……!起きて!」


まだ夢の中の円堂を風丸はパチッ、と叩いて起こした。


「んあっ!?何?シュートか!?」

「違うよ…円堂、急いで外に来てくれ!」


そう言うとすぐ走って行ってしまったので、円堂は訳も分からないまま起きて支度をし、下へ降りた。





靴を履いて、外に出ると
そこには見慣れない姿の幼なじみが居た。

「風丸…!?」


髪を下ろして、雷門の制服を着ている風丸。

いつも色気の無いジャージばかり着ているため、今の姿は実に女らしかった。

いや、むしろ可愛かった。


「変か…?」

円堂は首を横に大きく振る。

「すっげぇ、可愛いよ!」


「あははっ、どーも。…さぁっ、行くよ!」


円堂を強引に引っ張り風丸は走り出した。


「え?え?ちょ…どこに行くんだよ!?」












「遊園地…?」

ポカーンと円堂が入り口で佇む。


「ジェットコースター乗るよ!」

「え゛!!」


ズルズルと円堂を引き摺る。
どうやら苦手らしいが、そんなことはお構い無しだった。

「(リカのデートメモ…@ジェットコースターに乗れ!)」




カタカタカタカタ…

「お、お、お…!」

「ドキドキするな」


カタ…

「あああああ!!」

「きゃあ!」












「死ぬかと思った…」

「迫力あったな!円堂意外と臆病なんだな」

クスッと風丸が微笑む。


円堂は直視しながら口を開く。

「風丸はきゃあとか言ってたぜ」

「だ、黙れ!ホラ次行くぞ!」

「え!?うああっ…」














2人は次にお洒落な可愛いブティックに入っていた。

「(A…可愛い服を着て円堂に見せる………マジかよ…)」


「へぇー。風丸ってこういう所、興味あったんだー」

「ま、まぁっ、ある…と言うかなんと言うか……」

周りにある可愛い服をチラチラ見ながら風丸は呟く。



「な〜にやっとんねん!あのアホ!」

「まぁ風丸じゃ恥ずかしがるだろうな…」

外からリカと塔子がその様子を見物していた。

ジェットコースターの時も。


「はよ円堂をメロメロにせんかい!」

双眼鏡を握りしめ、足踏みしながらリカは言った。

すかさず塔子がつっこむ。

「メロメロ…って別に元から円堂は……って!あそこに居るの、壁山・栗松・木暮じゃない?」


3人はいつものジャージ姿で街を徘徊していた。
2人が何かをしているのに気付き、テコテコ歩み寄ってきた。


「何してるんスか〜?」

「かなり怪しいよ」

「…ってあそこに風丸さんとキャプテンが居るでやんす!!」


栗松が指差した先には
ピンクのパーカーに白いふわふわしたスカートを着ている風丸が居た。

「かかか風丸さん可愛いっス!!」

「馬子にも衣装って訳〜?」

「おっしゃあ!なかなかやるやないかい、風丸!」

「え!?キャプテンと風丸さん付き合ってるでやんすか〜!?」

「別にまだ違うよ」

「まだって…」



他にも風丸はモード系・カジュアル系など服を次々と着替える。

「風丸さんあんなに可愛いとは…」

「写真撮れば良かったでやんす〜!」


「あっ、店を出るみたいだ」

「うちは確か…そうや!次はパフェや!行くで」

「オレたちもかよ…」













「風丸さっき凄く可愛いかったよ」

大きめなカフェレストランに2人は入り、互いに前を向く状態で座っていた。

円堂がらしくない発言をするので風丸はボッ!と照れながら「ありがと」、と小さくお礼を言う。



「なぁ、なんさっきから色んな所に連れて来んだよ?」

「え、えっとな…円堂…」

上目遣いで円堂をチラ、と見るといきなり彼は鼻血が流れた。

「え、円堂!?」

「か、風丸…!それは反則だって……!」

「何を言ってるんだよ、ホラ、ティッシュ!」








「あぁ!もう、そこで鼻血流すアホが居るかいな!あのバカキャプテン!」

「キャプテン羨ましいッス…」


監視軍団が状況を話している。

…後ろから近付く気配に気付かずに……。



ガシィッ!!

栗松の頭が何者かに掴まれる。

「だっ、誰でやんすか!」



「な・ん・だ、アレは」

ゴゴゴ…と燃え盛るようなオーラを纏いながら、見開いた目でデート現場を見てた人物は豪炎寺だった。


「説明してくれないかな…」


後ろには絶対零度の微笑みをする吹雪が。
それに、ヒロトや緑川もいる。

「円堂のヤローッ!」


「円堂くんとデート!?僕もしたぁい!!」


ピキ……。
空気が一瞬にして凍る。


「今なんつったヒロト」

口角をピクピク震わせながら豪炎寺はヒロトを睨む。

「え、だからデート」


ピキィィ…!!

さらに空気が凍りつく。


「(誰や!コイツ等に教えたの!)」

「(リカ、犯人は木暮だ!)」

「(ま、まさかこんな事になるとは思って無かったし……)」

「(アホ!この空気どうしてくれるんや!)」




「あ゛ーーっっ!!」

いきなり緑川が叫ぶ。
彼の視線の先には風丸が円堂にパフェをスプーンで食べさせている現場があった。


「あああああ!!円堂ブッコロス!燃死させてやるぅぅ!」

「か、風丸ちゃんに『あーん』をしてもらうなんてキャプテン狡い!!」


「円堂を狩りに行く。異存のある者は居るか?」

「い、いつから居たんだ鬼道?」


「「ありません!!」」

豪炎寺、吹雪、緑川が一斉に返事をする。その目は真剣だ。

「行くぞ!!」

「「おう!!」」


4人はカフェ内へと侵入する。


呆気に取られて
リカ達は見ていた。

「最悪や……」

「凄いっスね…豪炎寺さんたち」

「凄すぎだよもう!」







やがて4人と円堂、風丸が店内から出てきた。

「だから風丸が誘ってくれたんだってば!」

「裏切り者は許さん」

「やっちゃえ鬼道くん!」


けんけんごうごう、
騒ぎ立てながら……。



「リカ〜!塔子〜!」

「お疲れさん…」

「災難だったな」


風丸が2人に飛び付く。

「やっぱり大変だな、デートって。円堂の気分転換になったかな」









「…って風丸!!」

豪炎寺がワナワナ震えなが風丸を見て叫ぶ。

「何だよ…」

「す、す、スカート!?風丸が制服、しかもちゃんと女のを着ているー!!」

「うっ、五月蝿いな!悪いかよ!!」

「ヤバい僕死にそう」

「可愛くて死ねる」


周りからの奨励に顔を林檎みたいに赤くした風丸は

「死ねっ!皆死ねー!!」

と言い放って走って逃げてしまった。











「行ってしもたな〜」

「追いかけないのか?」


塔子の問いに男性陣は答えない。



「…どうしたんだよ?」



何やら顔が赤い。





「「「風丸のパンツが見えた……!!」」」


走った時に起こった突風でスカートが捲れたらしい。



塔子は呆然として

「お前等最っ低だな…」

とため息混じりに言葉を吐いた。



リカがニヤニヤしながら
携帯を開く。

「風丸の可愛ええ服着てる写メ1枚500円でどうや!」


「「「買ったぁ!!」」」

シュバッと迷い無く一気に手をあげる男性陣。


塔子は呆れながら叫んだ。

「お前等ほんと最低!!リカの狙いはそれだったのかよ!」





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リクエスト…でした!
「冬花と円堂のデート話をいちっぺにしてほしい」
って感じの。

テンションあがりすぎて
超長文!


オワレ!
なんだもうコレ!

途中で力ツキタ!!


申し訳ナッシング!



ちょ、空き缶投げないで!

ごめんなさい!!

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