短編小説

□案内してやるよ!
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韓国戦が終わり、
イナズマジャパンは世界へと駒を進めた。

そんな平穏な時間の1コマの出来事。



韓国戦で不動にイライラばっかしてたオレだけど、今日は親睦の意を含めて一緒に買い出しに来ている。

「なぁ不動、次どこだ?」

「あー…テーピングだからスポーツ用品店」


てくてくと既に大量の荷物を持って居た。

力の無い風丸は荷物を持つ腕が限界に近づく。


「あーっっ!重いぃぃ」

ドサ、と道端に荷物を置く。

16人分の食材だけにかなり重い。




壁山も連れてくれば良かったな…。


そう思っていたら目の前に放置した荷物が消えている。


「ふ、不動!大丈夫だって」

不動が風丸の分の荷物まで抱えていた。


男なのに、これは恥ずかしい!だから、大丈夫だ!


風丸が抵抗するも不動は無視して先に行ってしまう。

反面自分が情けなく、
反面嬉しかった。


「(何だよ…もう)」

自分の顔が赤かったことなんか、気付かなかった。











買い出しを終え、荷物を全て宿舎の木野に渡す。


オレは不動の手を引っ張ってもう一度街へ出る。

「何だよイチロータくん…」

「お前に稲妻町を案内してやる!…さっきのお礼だっ」

不動はびっくりした表情を見せるとああ、と思い出したように軽く笑う。

「荷物持っただけじゃねぇか」

「オレ、一度お前とはゆっくり2人で話してみたかったんだ」



暫く沈黙が続き、

今まで一方的に手を引いていたが、次第に2人で握りあう形となる。





最初にアイスクリーム店へ入る。甘党の風丸のイチオシの場所だ。

「ここはなー、チョコとミントブルーが美味いんだぜ!」

「へーぇ。じゃ、オレはミント。お前は?」

「じゃあチョコバニラ!」


店員に告げて、代金を支払う。

不動が1000円札を出すので慌て風丸は
「あっ、オレが奢る!」

「バーカ。礼だ……」

「いーやーだー!」


風丸がブーイングをし、暴れ出すと不動はため息をつきながら

「うるせぇなお前!」

と優しく笑った。


初めて見る不動の表情に風丸は驚いたのか、静かになる。


心無しか顔が赤い。



2人はアイスを受け取ると店を出て、また歩き出した。

「不動、甘い物苦手か?」

「へぇ。なんで分かった?」

アイスを食べながら風丸は不動を見つめて、

「だって迷いもしないでミントを選んでたから」

と微笑む。



不動は一緒その笑顔に固まるが直ぐに我に返る。



━━コイツ……

可愛いくねぇか…?


ポニーテールにした長い空色の髪。
橙のデカイ目に長い睫毛。

完全に女だろコイツ!





「なぁ不動」

「なっ、何だよ!」


何故か女と話してる気分だ。
マジで何だよ…ったく!

何でオレがこんなに意識しなきゃなんねーんだ!!


「不動のアイスはオレ色で、オレのアイスは不動色だ!」



何かが不動の中で爆発した。


ダメだコイツ。
マジでバカだ……!

溢れる感情を必死で抑えてると風丸が不動の顔を覗き込むものだから理性が弾けそうになる。





かしゅかしゅ…とアイスのコーンを食べてる風丸は不動の葛藤など知らずに、いきなり頭にリボンをつけ始めた。


「な、何やってんだ…!やっぱりお前………」


「言っとくけど、オレは正真正銘の男だぜ。…念には念を、さ」

風丸が指差した方向にはゲームセンターがあった。



「この前な〜、緑川と一緒に撮ったんだ!プリクラ!」

「…はぁあ!?あそこって男子立ち入り禁止だろ!」

「あぁ……。疑われもしなかったけどな…」

ショボーンと俯く。


それでもまた行くのかよ、と不動は声に出さずにつっこんだ。


「まっ、思い出として!色々気にせずに行こーぜ」

「いや…お前はまぁ、平気でもオレは無理だろ」

「カップルはOKなんだ」



か、か、か、カップル!?

コイツは無神経なのか、
逆に男らし過ぎるのか。




グイグイと機械内に押し込まれる。

「不動!不動!カメラを向いて撮るんだぞ」


「ハイハイ」

ニヤ、と怪しい笑いをする。


『3、2、1』カシャッ


フーン。
このタイミングな。



何枚か撮って、『ラストショット!』と言う声がした。


不動は妖しく笑いながら「風丸」と呼ぶ。


「何だ………!!?」



風丸が振り向くと
不動がいきなり風丸の顔を自分の高さにまで上げて、片手で彼を抱き締める形でキスをした。



目を瞑ってキスをする不動の顔を風丸は訳も分からず見つめる。


シャッター音がなり終わっても2人の連結は剥がれない。



風丸は不動を引き離す事をしなかった。むしろ彼の首に手をかけ受け入れた。


綺麗な顔……。
下睫毛長いなぁ。
エロいな、なんか…。

ってかオレ、ファーストなんだけど。そもそも相手が男って……まぁいっか。


キスって…
こんなに優しくて甘いんだな。





2人の影は重なったまま。



















帰り道、
不動と風丸は無言だった。

風丸は耳まで顔を赤くして、
不動は飄々としている。



チラ、と風丸は不動を見ると彼は笑っていた。

「可愛かったぜぇ。風丸クン、いや、風丸チャン」


女扱いされてムッと来た風丸は周りを気にせず叫ぶ。

「五月蝿い!なんでキ…スなんかしてきたんだよ!?」




不動は歩く足を止めた。

「欲しいから」

「……………は?」


バカじゃないか!と風丸は笑ってやりたかったが、余りにも不動の目が真剣なので言葉を失った。



「オレはお前が好きだ」


目を見開いて風丸は林檎みたいに真っ赤になる。


「な、何言って……」

「お前はどうなの?受け入れたクセに」

「あ、あれは………」


脳裏に過るは甘い、キス。
口が悪いクセに変な所は優しい、不動のキス。


風丸は頭を抱えて、今にも熱が出そうだ。



沸騰寸前の風丸の耳元で、優しく…甘く呟く。

「お前が、欲しい」












「お前は、どうなんだよ?」










沈黙が続く。











「オレは………



お前に必要とされたい」





ニッ、と不動は笑い━━


「契約、成立」




そう言ってまた、2人は
夕陽に照らされ繋がった。





大好き。




本当はずっと前から、

だったかも。


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もう…
短編、ダメだわ!

リクエストでした!
ありがとうございます。



不風で甘い

ってのだったんですけど…

もうこれ違う!甘さ別!

すみませんでしたァァ!

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