短編小説
□残すなよ!
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*イナズマジャパン
*男前な風丸さん(♀)
夜時の食堂。
人知れず、今ここでは冷戦が繰り広げられて居た。
睨み合う、
右半分を刈り上げた茶髪と
空色のポニーテール。
「トマト残すなよ」
「うっせーオトコ女」
具体的には
不動と言う男と
風丸と言う女。
「はっ、誉め言葉にしか聞こえないな」
「あっそ。けど食わねぇかんな」
「食え」
どうやら不動が夕食の副菜・トマトを残しているのを風丸が発見したらしい。
ささいな好き嫌いは母親性質が高い風丸には許しがたい事だったのだ。
「トマト食わないからキレやすいんだよ、お前は」
「…ハッ!よく言うぜ。試合中オレにブチギレてたのは誰だ?」
「なっ……!?」
みるみる顔が赤くなっていく。
言い返す言葉が無いのと、恥ずかしさで。
「んじゃオレは部屋に戻らせていただきまーすっと」
震える手をどうにも出来ないまま風丸はため息をついた。
「どうしたんだよ?風丸」
そんな風丸の様子をみて幼なじみであり、チームのキャプテン・円堂が声をかけた。
「あ…円堂」
「サッカーのことか?」
バシン、と風丸は自身の額を叩いた。
━━なんて、サッカー馬鹿なんだ………。
コイツの頭にはそれ以外、無いのか!
「いや…違うんだ」
半ば呆れ気味に風丸は円堂をチラ、と見る。
「へぇ…じゃあ何だよ?」
「不動のことなんだけどさ…」
ガタガタガタッ!!
一斉にメンバー全員の視線が2人の会話に送られる。
ある者は箸を口に入れたまま
ある者は怪訝な顔をし
ある者は目を見開いている。
いずれにせよ
皆凄まじい剣幕に満ちていた。
「な、なんだよ?皆…なぁ、円堂………ってお前も!?」
円堂もまた有らぬ表情をしている。
「え?オレ、何か変な事でも言ったか?」
焦る風丸に豪炎寺が口角をピクピクしながら尋ねた。
「不動のことって……一体何だ、まさか……」
わなわな震えるメンバー一同に風丸は察しがつき、慌てて「違う違う!」と首をブンブン振る。
「ちがっ…只、不動の食事の好き嫌いが気になっただけだ!!」
「風丸、オレがピーマン残しても何も言わないじゃん」
即座、円堂が膨れっ面で言い返す。
続けて何人か「オレにも」「僕何も言われなかったよ」、と便乗する。
「風丸く…ちゃんが不動くんを気にしてるから、そういうのも気になるんじゃないかな?」
基山がそこに爆弾を投下した。
もう、取り返しの付かない状態になったと理解した風丸は自室に走って戻り、
不動の部屋に『狩り』に行く者が何人か居た。
風丸は近くの部屋から発生している奇声に気付かずにベッドで足をバタバタと弾ませた。
「(ヤバいオレ、顔赤いかも!)」
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……はいっ!
リクエスト
「中身はそのまま風丸さん」
「最終的には不動落ち」?
クリアー!
お粗末だけど優しい目で見てくださいな( ´`)