短編小説

□出逢いは衝撃!
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「風丸ー?風丸?」

何処か遠くで幼なじみが自分を呼んでいる声がした。


私はスヤスヤと木陰で眠りについてしまっていた。
部活の休憩中だと言うのに。



それでも夢の中に私は居た。












『WORLD WORLD』















6歳位の時、私はこの街へ引っ越してきた。

確か小学校に入って友達もたくさん出来た時。
時期が中途半端で。


親の都合でこの、人々が賑わう明るい街にやってきた。

転校手続きの関係ですぐには小学校に通うことが出来ずに1人、家に閉じ込もっていた。

否、外出を禁止されていた。


一、まだ街の地形を知らないため、迷子防止。

一、誘拐の危険。


誘拐はもう2度もされていた。生まれつき運が無いのか、はたまた何故か。




だからその日も1人家に籠って居た。












はやくお外行きたいな
はやく遊びたいな
はやく学校行きたいな
はやくお友達欲しいな

その日も彼女は自室の窓から外を眺めていた。


じぃ、と。
空を道を人を。


そして幼き風丸は
1つのものを凝視した。

「また居る……」



彼女の視線の先には1人の男が立っていた。

少年はその地で決まった時間に、サッカーボールを蹴っていた。
毎日、毎日。


少女は羨ましそうにそれを眺めていた。



その日は何故だか分からないけど無性にその少年と話してみたかった。



「(べつに、お家の近くの公園だからだいじょーぶだよね)」


言い付けを破り、玄関の扉を飛び出した。





「ねぇ」

サッカーボールを蹴る少年はその足を止めて、くるりと振り返った。


「なにー?」

「毎日そのあそびしてるね。楽しいの?」

「おう!お前もやる?」

「やる!」


ニコニコしながら
2人はボールを追い掛けた。
5時の放送が流れるまで。


「楽しかったな!オレ、えんどうまもる。お前は?」

ぜぇ、ぜぇと息を切らしながら少年は少女を見つめる。

「かぜまる…いちろーた」

躊躇いがちに言う彼女とは対し公園に寝っ転がっていた少年はガバッと身体を起き上がらせる。

「え?男の子?」

「んん。おんな。名前、変でしょ。きらいなの」

「そっか?でもおぼえやすいぜ!じゃあ、いちって呼んでいい?」

「じゃあ、まもって呼ぶ!」


エヘヘ、と2人は照れ笑いをしつつ手を握り握手を交わした。


「また明日あそべる?私、まだ小学校に行ってないの。引っ越したばっかりだから」

「えっ!もしかしてそこの家って君の?」


少年が指したのは大きくて、今時のお洒落な家。

コクコクと少女は頷く。


「すっげぇ!オレの家はそこなんだ。近所だ!うれしいぞ、ここら辺には同じくらいの年の子が居なかったから!」


キラキラ目を輝かせて、少女の手を掴み、ぶんぶん振る。

少女はキャハハ、と如何にも可愛らしい声で笑う。


「よろしく、まも!」

「よろしくな、いち!また明日、まってるぜ!」


うん!
そう言おうとした時だ。


いきなり風丸の体が高く、浮いたのだ。

否、誰かに掴まれた。



「きゃっ…!?」

風丸はジタバタしながら抵抗する。少女を捕まえた男性は息をはぁ、はぁと切らしている。
恐怖そのものだった。


何故ならもう『誘拐』と、『危ない人』だと言うことが分かっていたから。





「いちをはなせぇ!!」

少年が蹴り放ったサッカーボールは『危ない人』に直撃し、2人は逃げた。






「はぁっ、はぁっ!いち、だいじょうぶだった?」

少年は少女の手を握り、自分の家に連れこんだ。



「こ、怖かった…!あ、ありがとう、まも……っ」



バタバタ帰って来た音を聞いた少年の母親が「どうしたのー?」と玄関先へ駆け寄った。



「あらら……」



母親が見たものは
手を繋いで泣きじゃくる可愛いカップルだった。
















「かーぜまる!」

両の頬をペチンと叩かれ、風丸は夢うつつから目覚めた。


「円堂…、悪い、寝ちゃった」

「ったく〜。探したんだぜ?こんな所で寝て、危ないぜ」


ほらよ、と円堂が風丸に手を差し伸べ彼女は起き上がる。



「フフッ」

「何だよ、いきなり」



微笑みながら彼女は

「昔のこと思い出しちゃって」
と言った。


円堂は、ん?という表情をしていたが風丸は笑う。





あれが君と私の出逢い。

いつもこの手に助けられてるね。





「大好きだよ、円堂。初めて会った時からさ」

突然の告白に呆気取られた物の、彼は頬をポリポリ掻きながら


「オレも」
と言い返した。








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リクエスト
「円風♀の出逢い」



んー
んー………


なんだこれ!(笑

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