短編小説

□緑川くん!
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*リュウジは女の子
*INお日さま園





「ちょっと、やめてよ!」

「うるせぇよチビ!!」




「何事だい?」

何やら騒がしい現場に基山が現れる。
目を向けると緑川と南雲が言い争っていた。


慌てて基山は止めに入る。


「ちょ、ちょっと!喧嘩はやめなよ!」

「うるせぇ!」

「痛い痛い!!」


グイグイと南雲が緑川のポニーテールを引っ張っている。
それに気が付くと急いで基山は南雲の手を離させた。


「何してんの。女の子に!」


優しい基山だからこそ、
優先すべきことを知っている。

女の子に手を上げる、
それが何よりも悪いことだと。




バツが悪くなったのか南雲は舌打ちをするとその場を立ち去って行った。


フゥ、とため息を付くと
彼は緑川に視線を移した。


「緑川も、一体何をしたの」

「何もしてないよ!」


涙目で答えるものだから少し動揺したものの、やはり仲間の喧嘩は見過ごせない。


「いきなり…っ!南雲が髪を引っ張って来たんだよ…っっ!ふ、ふぁっ…!」


ボスッと基山に体を預けて、
彼女はグズグズ泣き出してしまった。

基山は優しく頭を撫でてやる。




まるでお兄ちゃんみたいだな、
僕。



少し切なげに微笑んで。






「実はな、ヒロト」

「うん?」


何処かに隠れていたのか、
南雲の親友、涼野が彼に近付いてきた。


「髪を引っ張ってた訳じゃ無いんだ」

「うーん?どういう事?」


「違うもん!思いっきり引っ張ってたもん!」

泣きじゃくりながら反論する緑川を
ぎゅう、と抱きしめて黙らせる。

日常茶飯事、だ。


涼野は顔を少し引きつらせたが、
一息ついて話した。


「緑川の頭に毛虫が居るんだ」




「……は」

「未だ付いてる」


「と、取って!ヒロト!早く!!」

「ちょ、ちょっと暴れないで!」




ポトッッ!


「い…いぎゃああああ!!」

「ど、どうしたの!?」


本格的に緑川は泣き出して、
大声を張り上げ叫ぶ。

涼野は目を丸くし、
基山は呆気に取られる。


「あ、あのね、緑川。む…胸…」



体は密着状態にあった。

基山以外気付くことは無かったが。



「背中に何か入ったぁぁぁぁ!!」

「毛虫だろ!早く、取れ!」


「取ってぇぇぇぇ!!」

「く、くっつかないで…」


基山の懇願は彼女の耳に入ること無く
密着状態は続く。

彼女の膨らみが
彼の腕に、体に伝わる。


優しい基山と言っても
今は緑川より自分のことだ。

彼女の心配なんか出来る訳が無い。


涼野は虫が大嫌いなため、
彼女の背中に入った毛虫なんか取れる訳が無い。



「だ、だずげでぇぇ!」


「…ったく!うるせぇな!」

先程の問題児、南雲がてこてこ歩いてくる。
そしていきなり…


「ひょっ!?」

「な!南雲っ!?」

「何するんだ!?」


緑川のシャツを捲り上げる。

皆の眼には彼女の褐色の肌が露出し、更には成長期真っ只中の胸が晒される。


当然、ヒロトは失神間近で
涼野は顔が真っ赤だ。



「居た居た!」

そう南雲は平常心で緑川の背中に張り付いていた毛虫を手に取り、窓から外へと投げた。


暫く唖然のしていた緑川は、
今の自分の姿に気づくと大急ぎでシャツを着なおす。


真っ赤な顔で
緑川は「…ごめん」と呟く。

南雲に伝わっていたかどうかは分からないが、彼は薄く笑っていた。



「良いもん見れたぜ!」

「なっ!!!」


「ただ、もう少しでかくてもバチは当たんねぇんじゃねぇか?」

「煩い!死ねっ!!」


「……」

「……」


目の保養を施したものの、
今の状況は彼らには面白くない。









ただ3人…
基山、涼野、南雲は同じ思考を持ち合わせていた。





渡さない、




……お前等なんかには。











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10000hitリクで
「緑川総受け!」


…になってるかな、これ←


ともかく
緑川は女子でおいしいです←

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