05/18の日記
19:41
小話(リハビリ)
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またお前か・・・・
日向に揺れる陽炎を踏み超え、今日も奴はやって来る。
静寂を蝕むような鍔鳴りと共に。
― 主 ―
「・・・」
「・・・・」
軽い会釈の後、奴はその幹に体を預け腰を下ろす。私のすぐ隣に・・・
さらさらと風が渡る葉先を眺めひと時。
誰も言葉を口にしない事にもどかしさなど感じてはいなかったのだが。
「何もないのは良い事とはいえ、先輩も暇そうですね」
「・・・ぬかせ」
フフッと息を吐き、再び沈黙の中に葉擦れの音だけが流れる・・・
無粋な奴―
そう思ったのも束の間。彼の一言に触発されたのか、奴が口を開いた。
『ねぇねぇ、姐さん暇〜っ!!』
『・・・』
私はコイツが苦手だ・・・
コイツの主同様。何を考えいるの か掴めない軽さがいけ好かない。
身丈は私の半分もあるだろうか?朱い柄に朱い下げ緒。
そこそこ時を重ねてはいるようだが、まだまだ青臭さが鼻につく。
何より。私はその物言いが気に食わない。
『あっ!?姐さん。お手入れしてもらったんですね!?いつもより鍔に艶が』
『黙れ・・・』
『・・えぇ〜褒めてるのに〜』
本当に・・・騒がしい奴。
折角、主と静かな時間を嗜んでいたというのに・・・
私は斬岩剣と呼ばれている。銘は他にあるのだが、主がそう呼ぶのでそれに従うことにした。
奴の銘は知らない。奴自身知らないとの事なので知るすべも無く、知りたいとも思わない。
『でも昨日。三叉が、姐さんは最近色気が増したって』
『・・・!?』
三叉槍。無口だが、たまに口を開いたと思えば色事ばかり。その主とは似て非ざる真性マゾ娘。
厄介な奴だ・・・
『お前達。私を肴に下世話な事を・・・全く。普段何を話をしているのか・・』
『それは・・え〜っと。三叉は主達の分析とか今まで戦った相手の話とか』
『ほぅ・・・』
『たとえば、俺の主はきっと両方イケるだとか。以前、敵の髪をちょん切った時はすごくイケない事したんじゃないかってゾクゾクしたとか』
『正直、スマンかった』
こうなる事は分かっていたのに・・私は馬鹿だ・・
『あ、姐さんの主の事も言ってましたよ。たしか・・』
『・・・やめろ。』
我が主の事を何と言ったか知ってしまったら、次に会う時うっかり主ごとぶった斬ってしまいそうな気がする・・・
『でも最近、三叉と髪斧の奴が何か仲良くて』
『ふむ・・・』
『よく相談にも乗ってるみたいですよ。錆がどうとか・・・』
『錆か・・・』
我らが鉛の刃には錆は付き物。手入れさえ怠らねば何のことはないはずだが。
ましてや髪斧の主は洒落者。手入れもよくされている姿を目にするが・・・
『髪斧は主の整髪料がベタベタして嫌だと言ってたんですよ』
『まぁ、それはあるかもしれんな。しかし、その程度で錆など ・・』
『それで三叉が「ならば風呂の度に湯船に飛び込んでサッパリ油を流せ」とか』
『・・・・・哀れなり髪斧』
相談する相手を間違えるとこういう目に合う。若さ故なのかそれとも・・・
ベラベラと話を続ける奴に、私は上の空で相槌を打つことしかできなかったー
「・・・じゃあな」
「押忍・・」
気が付けば傾いた日に大きく伸びた影。
主は並んだ剣の片方・・・私をその大きな背に纏わせると、後輩へ別れの言葉を置いてゆっくりと歩き出す。
『姐さんお疲れ様です〜また度!!』
『・・あぁ、またな』
チャリッと一度だけ鍔を鳴らし、私は遠ざかる小僧から暮れる空へと思いを馳せる。
願わくば。三叉槍と刃を交える日が来ませんようにと・・・・
ーおしまいー
まぁ、アレですわ。リハビリにもなっていないし…アレですわ(−_−;)
言い訳その1
斬岩剣は女属性っぽいなと、ふと思った。桃の刀は獅子丸みたいな明るさがありそうとか思った。伊達の槍は完全にネタ。髪斧は更にネタ。
言い訳その2
私は疲れている。
言い訳その3
多分シリーズ化させようとしている。
アホですわ自分(^ω^)
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