*巡恋歌*

□名前
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戦いから約2年が
過ぎようとした頃の出来事。

夕餉を終え、一息ついた時
ふいに土方さんが声を掛けてきた。

「千鶴」

「はい」

そう言うと土方さんは
私をぐいっと引き寄せて
土方さんの膝の上に座る形になった。

「ひ、土方さん?どうしたんですか?」

こんな事は日常茶飯事で
もう慣れてもいいのに
私はいつまで経っても緊張して
冷静を装っても顔が火照ってしまう。

「……」

「土方さん?」

暫く土方さんは私の顔を見つめていたけど
急に溜め息をついた。

「何でお前はまだ苗字で呼んでんだ?」

「え…だって…土方さんですし…」

「それを言うなら千鶴、
お前だって土方じゃねぇか」

「うっ…で、でも土方さんを
下の名前で呼ぶなんてそんな…」

たとえ、夫婦の契りを交わしていても
土方さんは…新撰組を引っ張っていった凄い方で…

「よし、分かった」

「へ?」

「今から稽古だ!!
千鶴が俺の名前言えるように
みっちり稽古付けてやるから覚悟しとけ」

「えぇえぇ!!///」


そして私は歳三さんの名前を言えるまで
みっちりとしごかれたのでした。



→あとがき&おまけ



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