Cercare

□獄寺くんが増えた(side,綱)
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あの日以来、俺の部下となった東条さん。
………すっげー不本意だけど。




『ボス!!
おはようございます』



朝の挨拶に始まり、



『ボスー
次の授業移動ですよ、あ!荷物お持ちしますね!!』



各授業の世話。ちなみに数学の授業の時は答えを教えてもらったりした。



『さぁボス!
いっぱい作ったんでジャンジャン食べてください!!』


しまいには昼食まで用意してくれるようになった。





「いや、東条さん、これはいくらなんでもやり過ぎじゃ…」

『っ、ご迷惑でしたか?』

「え!?ち、ちが!!」




あーもー!
そんな泣きそうな顔して言わないで!!!




「10代目、甘やかすことないっスよ
嫌なら嫌とガツンと言っとかねーと、どこまでも付け上がりますよこの女」

「いや、別に嫌とかじゃなくて」

「まぁまぁ、いいじゃねーか
そのおかげで俺と獄寺もこうしてウマイ飯にありつけてんだからよ」




何て言ったらいいか分かんなくて、言葉を探していたら山本から助け船。


確かに東条さんの作ったお弁当は美味しい。
ホントなら大喜びして当然。

それに授業の世話をしてくれてる事に関しても有難いと言えば有難い。



でも、なんか従わせてるような感じで、いい気分はしない。
や、だってボスになる気とか全然無いし。




「あのね東条さん
俺としてはスッゲー助かってるし、感謝してるんだけどね?ほら、東条さん、大変じゃないかなぁ…なんて」



彼女の心を傷つけまいと、やんわり拒否してみる。



『そんなことありません!!ボスの為だったら苦労も苦になりませんから!!
というかこれくらい部下として当然です!!』



力説されてしまった。

なんというか、獄寺くんが増えたみたいな感覚。


それならば、と諦めもつく。
このテの人に何を言っても無駄なのだ。
もう獄寺くんで学習済みだ。




「じゃぁ、せめて呼び方変えてもらえないかな?」



一応俺達、同い年だし何よりクラスメートだし。



『それは……、ボスがよろしいのであれば』

「うん全然いいから」




なんとか教室でボスボス言われるのだけは免れられるようだ。




『じゃぁ、』



暫く考える素振りをしていた東条さんは、ふと顔をあげて俺を見る。





『ツナさん、でいいですか…?』




照れたようなハニかんだ笑顔で言ったそれは、思いの外効果絶大で。


きっと今俺の顔赤いんだろうなぁ、なんて、他人事のように思っていた。




To be continue..

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