Cercare
□デートなう(side,綱)
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『…………………』
「…………………」
『…………………』
「……や、あの仁菜?」
リボーンが喋ったあと、沈黙を貫く仁菜。
え、少しぐらい反応してくれてもよくね?
俺泣くよ?
「仁菜、嫌なら嫌で」
『デ、デートってあれですよねっ!デストロイを可愛く言ったバージョンですよね!僕と危険なことしましょう、イコールちょっと万引きでもしちゃおうか!てなことですよね!それなら大丈夫です!!任せてください!!』
「ちがぁぁぁう!!!!」
それにそれ大丈夫じゃないし!犯罪だし!アウトだし!!
こんな時までボケないで!!!……………て、思ったけど、よく見たら顔が赤い。
もしかして、照れてる?
「仁菜、デート、嫌?」
『、っ………いえ』
「じゃぁ、俺とデートするの、嫌?」
『、いえ!』
すごい勢いで言われた。
とりあえずひと安心。
「なんでもいいから早く行け」
リボーンに足蹴にされながら教室を二人ででる。
その時リボーンに言われたこの一言。
「キスぐれぇは奪ってこいよ」
いやいやいや。
ぜったい無理!!!!!!
そしてそんなこんなで。
「……………仁菜、どこ行きたい?」
『……ツナさんの、好きなところで、』
「じゃ、じゃぁ、ゲーセンとか、どうかな?」
『い、いいんじゃないでしょうか』
ガチガチな俺達。
つーかつい言っちゃったけど、ゲーセンて…。
もうちょいなんかあったろ俺。
自分のバカさに肩を落としていると、俺の少し後ろを歩いていた仁菜がかぼそく声をあげる。
『ごめんなさいツナさん…
私、デ、デートとかしたことなくて、その』
顔を赤くしてモゴモゴ言ってる仁菜。
何この可愛い生物!!
俺かなりヤバいんだけど!!!!
『、でも、一生懸命頑張りますからっ!!』
顔を赤くしたままガッツポーズ。
……ダメだ、俺、死ぬ。
『ツナさん?』
「!!!っだ、大丈夫!!ごめんね!
つーかほら!着いたよゲーセン!!!!」
必死にごまかし、二人でゲーセンの中へ。
「えー…と」
とりあえず何をしよう、と思って隣の仁菜を見ればある一点で視線を止めていた。
『ツナさん!
プリクラとりましょうプリクラ!!!』
「え、……あ、うん」
なんだかんだ仁菜主導になってるけど、いいのか…?
<<それじゃあ撮るよ!皆笑って!3、2、1……>>
カシャ、という音が鳴り、こんな感じに撮れたよ、と言ってくるプリクラ機。
『ツナさん、もっと笑ってくださいよ!で、目線は正面!!』
仁菜は撮れたものを見ながら言う。
いや、なんつーか、近すぎて笑えない。
その後何枚か撮ったけど、たぶん全部笑えてない。
で、落書きタイム。
俺がしゃしゃれるはずもなく、仁菜に一任。
そして。
『はい、これツナさんの分です』
出てきたプリクラをハサミで二分割。
一方を俺に差し出す。
「ありがと」
よし、家宝にしよう。
『さぁ、次何します?
音ゲーとかどうですか?』
「あ、いいね、俺得意だよ」
『そうなんですか!?じゃ勝負ですね!!』
ゲーセンにある全ての音ゲーで勝負。
俺の全勝。
『ツナさん強すぎません!?異常なんですけど!!』
「仁菜が弱すぎなんじゃない?」
『わ、ツナさんそれヒドイ』
「アハハ!!」
あ、やっと笑えたかも。
やっぱり仁菜といると楽しいな、ホント好き。
それからはカーゲームとかユーフォーキャッチャーとか色々やった。
すっげー楽しかったし、たぶん仁菜も楽しんでくれたと思う。
そして、ふと外を見ればとっぷり沈んだ陽。
そろそろ帰ることに。
「仁菜、今日はありがと、楽しかった」
『いえこちらこそ!!』
「……で、良かったらまた誘ってもいい、かな…?」
俺的にはかなり頑張った一言。
でも、仁菜からの答えは予想すらしてなかったもので。
『ダメですよ、今度はちゃんと、好きな子を誘ってください』
一瞬、は?ってなった。
いや、真面目に言ってる意味がわからなかった。
『今朝聞いちゃったんです、ツナさんに好きな子がいるって話。……盗み聞きしちゃったのはホント謝ります!でも私、応援しますから!』
「………………」
『今日のデートも、その子との予行演習なんですよね?
私、お役に立てました?』
「っ……!」
気付いたら、仁菜を壁に押し付けてた。
『いっつ…、ツナさん!?どうしたんですか!?』
言いたいことはたくさんある。
違う。違う。違う。
俺が好きなのは仁菜。
予行演習なんかじゃない。
応援なんかされても嬉しくない。
どうして、なんで。
でも何一つ言葉に出来なくて。
そして一つ、リボーンからの言葉が頭に浮かぶ。
「キスぐれぇは奪ってこいよ」
「………ホントに奪ってやろうか」
いい?仁菜。
俺だって、男なんだ。
To be continued.