†紅蓮†

□Cross-Purposes
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「こうじゃなくて、もっと……」



03/10に向けてギターズは
思案を巡らしていた。



下手ギターの俺と上手ギターの麗。


下手と上手。


黒と白の衣装。


俺と麗は対になることが多い。


それはそれで良いのだけど
意志疎通が上手くいかないともどかしくなる時がある。



俺達は対だから交わる事はないのか…と……



事の発端は些細な事だった。
いつもは何気無い一言が刺さった。






「葵さんには解らないよっ!」
「あーそうかよっ じゃあ、勝手に悩んどればええやん!!」






灰皿に山になろうとしている吸殻達。
苛々に比例して煙草の数も増えていく。
「葵さん、吸いすぎだよー」
ルキが苦笑いで隣に腰を下ろした。
「あー…、いいんだよ」
ヘビースモーカーのお前には言われたないわ…



俺は早く麗の力になりたくて、麗はじっくり煮詰めてから話し合いたくて



お互い目指す場所は同じなのに



すれ違ってしまった…



「なぁ、葵さん」
「なん?」
「麗さ、ここ最近ずっと毎回相談に乗ってもらってばかりだからって、一生懸命ギターと格闘してるんだよ」



だから“見守ってやってな”って
せっかちな俺には難しい訳で(苦笑)



ポカンとしている俺にルキは“側に居てやればいいんだよ”っと笑う



側にねー…
ルキのアドバイスは他愛ない会話だと…



眉間にシワをよせながら麗の元へ行くと
俺と同じように眉間にシワを寄せながら麗はギターと格闘していた



「ん…? 葵さん…?」
俺の視線を感じてギターから葵に目を向ける。
「さっきは怒鳴ってごめんね」
「あ…いや……俺も悪かっし……ごめんな」
俺の言葉に安心したのか目線をギターに戻した。



あれ…?この弾き方…どっかで…


「お前ってこんな弾き方してたっけ?」
「葵さんの弾き方を拝借しました(笑)」
照れ臭そうに俯いた。
「だよな(笑)そういや、さっき話していたフレーズさ弾いて聴かせて」
「え…うん。でも……上手く弾けないからもう少し後で…」
「聴かせてよ」
「でも………」
「弾いてみて。いくらでも、麗が納得するまで付き合うからさ」
さっきに比べて優しく諭すように声を掛けてみる。
「ん、じゃあ…」



やっぱり、麗のギターは耳に心地好い…
それに合わせて俺もそっとギターを奏でてみた。



「あ!これだよ、葵さん!!俺がやりたかったのは」
満遍の笑みを俺に向けた。
つられて、俺も笑顔になる。



「10年の賜物やな」





俺達は対だけれど


互いに手を伸ばし支え合ってている。


そう、互いに支える「人」という漢字があるように…


だから、繋がれるのだと……





〜END〜


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