Original Story
□素直になれない
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「あー!!なんで今日は日直なのー!?」
金曜の放課後、日直の仕事をしていた三嶋神流(ミシマ カンナ)は大声で喚いた。
何気なく外を見ると、夕日は沈みかけている。そのことに驚き時計を見ると既に7時を過ぎていた。
「ウソ!?もうこんな時間!なんで先生声かけてくんないの!?自由すぎるでしょ!!」
心のままに叫んでから己の机の上を見る。机の上には担任から「学年分ホチキスで止めておいてくれ」と渡された紙が山積みになっている。3分の2は終わっているし、作業自体は簡単だからあと10分もすれば終わるだろう。だが、
「なーんか…嫌な気配がしてきた…。」
勘…というか霊感が強い神流は徐々に強くなる悪い気配にどうしようかと迷ってしまう。
「……あと10分くらいだし、やっていこ。」
ため息をつきながらも結局終わらせることにした。
「大体、押しつけてくる先生も悪い。けど、一番悪いのは日直のくせに帰ったら幸田だ!!」
暗くなり始めた教室で1人叫びながら作業を続ける。黙々…ではなくぶつぶつと文句を言いながら作業していたのだが、とりあえず終わったので帰りの支度を始める。どうせ担任のことだから既に帰ってしまっているだろう。そう考えた神流は紙を自分の机の上に置いたまま帰ることにした。