Original Story

□スパイシーBoy×キャンディGirl
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「で、なんで俺は髪が伸びてんだよクソ兄貴。てめえ、俺に何しやがった!?」
「髪が伸びた伊織も可愛いなあ。だけど俺が作ったのは“素直になるキャンディ”だったんだけどなあ」
「そう言えば、巴織さんはそう言ってましたね。でも、これだと“女の子になるキャンディ”ですよ。」
「そうなんだ。俺はどこで間違えたんだろうなあ。でも、女の子になった伊織も可愛いから結果オーライだな!」
「んなことはどうでもいいんだよ!それより早く戻しやがれ!!」

読者の皆様こんにちは。冒頭から怒鳴りっぱなしの俺こと鹿野伊織(カノイオリ)です。ちなみに性別は男。・・・だったんだけど、冒頭の会話からわかるように俺は今クソ兄貴が発明した妙なキャンディをうっかり食っちまったせいで女になってしまった。って言っても髪が伸びて体が女らしくなった程度の変化だけど。

「今すぐ、迅速に、俺を元に戻しやがれ!さもないと・・・飯抜きな上に1カ月は口聞かねえからな!!」
「そ、そんな!!待っておくれ伊織!聞いておくれ!!そもそもそれは3時間経ったら自然に効力が切れるはずなんだ!だから元に戻すための薬はないんだよ!!」
「・・・だとさ。あと2時間ちょいだな。自然に切れんの待ったらどうだ?」

この呑気なこと言ってやがる男は俺の幼馴染でクラスメイトの木梨夏希(キナシナツキ)。180pを超える長身で、運動神経もよく勉強もできる嫌味な奴。どうでもいいことだがコイツはモテる。男の俺から見ても整った顔立ちをしてやがるからムカつき加減は上昇する。で、さっきから俺に責められて泣きそうになってる奴が俺の兄貴・鹿野巴織(カノハオリ)。稀代の発明家とか言われているが、俺からしたらくだらないものばかり作ってるダメ兄貴。役に立つものを作った試しがないからな。

「あと2時間だと?ふざけんなよ!?そんな待ってたらタイムセールが終わんじゃねえかよ!!今日は5時から卵の安売りなんだぞ!?一人一個だから夏希も連れてきたのに・・・!」
「そ、それなら俺が買いに「兄貴はダメだ。余計なものを買い込むからな」」
「なら俺が行くのは?」
「それもいいけど、言っただろ?一人一個なんだよ。今回は二つ買うつもりだったのにこのクソ兄貴のせいで・・・!」

タイムセールを思い出して余計にムカついてくる。厳しい家庭をやりくりする俺にとってセールに行けないのはかなり痛い。と、読者の皆様はどうして俺が家庭を管理しているか知らないよな。実は俺の家には両親がいないんだ。5年前に事故で両親とも亡くなってしまったからな。普通だったら長男の兄貴が家庭を管理すべきなんだろうけど、この通り、余計なことばかりしくさるから俺が代わりに管理しているんだ。生活費は両親の保険金と、兄貴の発明の儲けだけ。この兄貴の収入も売れる時と売れない時とがあるからやりくりが大変なんだ。っと、こんな話はどうでもいいよな。問題はセールをどうするか、だ。
兄貴への不満を一旦頭の端に寄せ、セールをどうするか悩む。すると名案が浮かんだのか、夏希がにやりと笑った。
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