書
□クラリネットを壊しちゃった
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あ あ あ あ あ あ
やっちゃった、やっちゃったぜ、やっちゃったんだぜえええええ…!!!
目の前には真っ二つに折れたクラリネット。頭と体がこんにちは状態だ。
やあはじめまして、クラリネットの頭です。ああどうも、クラリネットの体です。いやー見事なまでに折られちゃって困りましたねコレ僕ら廃棄処分かなあはは…なんて現実逃避してる場合じゃねえええ!!
あばばばコイツはオヤジが昔学生だった頃、憧れだった女子の縦笛をコッソリ舐めようとして間違えちまったオッサン先生のクラリネットだ。
間違えた事を知ったオヤジはその晩枕を涙で濡らしたらしい。しかも後に記念に貰ったらしい。なんでだ。
そんな曰く付きのクラリネット…コイツには、オヤジのいやらしさと汚さと、一時の情熱が詰まっていたんだ。なのに!!
そいつを俺は折っちまった!!
あり得ないぜガッテム!!なんたる失態、なんたる親不孝!!
どうしよう、きっとオヤジはショックを受けるだろう。もしかしたらショックすぎて前髪が後退するかもしれない。思い出の品を失った上に前髪の防衛ラインまで突破されたら可哀想すぎる。
ああしかし…困ったなあ。