サイボーグ009 ‘GODS WAR’

□第1章
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西暦2012年001月。

世界中の人々が、新年の訪れを祝う余裕は無かった。
何故なら、“謎の発光物体”が世界各地に出現し、人々に恐怖と不安を与えていたからである。
その“発光物体”は、UFO(未確認飛行物体)のようであったり、人の姿のようでもあったりと、時と場合、また、見る者によっても同じ姿形では無かった。

メディアによる情報、報道機関でさえも、異星人(エイリアン)の仕業かと騒いでいる有り様であった。

そんな状況の中、既に異変を感じ取っていたゼロゼロナンバーサイボーグ達は、超能力ベビー・001(イワン)により、ESP能力を得、サイキック・サイボーグ戦士として、今日も‘誰がために’闘っていた。

2012年002月。

だが、形勢は圧倒的に劣勢だった。

新しくESP能力を得たとはいえ、こちらは9人。
しかも、001は、いつもよりも長い睡眠期に入った様子だし、付き添っているギルモア博士と003は、メンバー達との交信役を担っている為、世界中の至る所で発生している“怪現象”に追いつかない状況であった。

メンバー9人が、テレパシー、テレポート、サイコキネシス等のESP能力を備えている為、精神的ダメージを受けなければ、加速装置などのメカニズムに頼る機会は少なくなっていた。

が、しかし、半分は人間の体である。

基本的には、通常使われていない脳の一部分からESP能力を引き出しているので、個人的な能力差がある。
そこは、やはりメンバー同士でカバーし合う必要があった。

2012年003月。

正に、神出鬼没に現れては、強烈なインパクトを与えて、人々を惑わし、懐柔するのが“敵”のやり方だが、今までの戦いの中から、少しずつではあるが、分かって来た事もある。

004が言う。「どう考えたって、本物の神様や、UFOって事は無いだろう、どこかに黒幕がいるはずだ!」

そう感じ取っていたのが、もう一人、002だ。「裏で糸を引いているのは、やっぱりブラックゴーストなのか?」

2012年004月。

もし仮に“神”と名乗る相手が、ESP能力を持ったブラックゴーストのサイボーグだった場合、
“謎の発光物体”も、世界の各地域の人々の持つイメージに合わせて、UFOや異星人、神や天使などに変化している事から、007(グレート)のような変身能力、或いは、集団催眠による幻覚を見せている可能性がある。

また、00ナンバーサイボーグ達は、ESP能力を得て間もない為、上手く使いこなせていない事もあり、精神的疲労・消耗が激しく、長時間使い続ける事は脳へのダメージなどの危険を伴う。

このままでは、数的不利は否めない状況だが、今後、練度を上げていく必要があるだろう。

2012年005月。

初めこそ、圧倒的な力で人々を意のままにして来た、“神”と名乗る相手だが、誤算があったのかも知れない。

00ナンバーサイボーグ達がESP能力を得た事や、各地での人々の抵抗も有り、侵攻が妨げられている様子もある。

特に、005の故郷でもあるアメリカ大陸の先住民族の居住区や、オーストラリア大陸の先住民族のアボリジニなど、古来からの精霊信仰や、独特な精神世界を持つ人々の中には、一種の超能力のような感覚を有する者がおり、“神々”達の支配が及んでいない地域が、まだある事からも窺える。

また、今回の“神々”達の“精神への介入”とも言うべき‘攻撃’により、世界中の至る所に“超能力者”の存在が確認出来た事も要因の一つだ。

009が出会ったのも、既に「サイコキネシスの巨人」として覚醒していた、日本人の青年、‘東 丈’(あずま じょう)だった。
「君が009、島村ジョー君だね。」
「あなたが、東丈さん。色々とよろしく頼みます。」
こうして2人は、お互いに日本人という事もあり、すぐに打ち解け、まだ超能力を効果的に使えていない009達に、アドバイスを与えてくれるなど、非常に心強い仲間の一人となった。

もちろん彼の他にも、各国の超能力者達によるネットワークが形成されるにつれ、“神々”達の、かつての勢いは失われつつあった。
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