稲妻小説

□九州男児の苦悩?
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もう無理です…
限界、なんです。

どうしてあなたは
こんなにも

俺の心をかき乱すんですか?



九州男児の苦悩?



「おぅ立向居!!」

『つ、綱海さん//』


ほら、またあなたはいつものようなキラキラした笑顔で俺に話し掛けてくる。

俺は毎日毎日、
あなたのその笑顔を見るのが辛いんです。


それに…胸が苦しい。



つい最近から、
綱海さんに対して特別な感情を持ち出した俺。

その感情は、円堂さんに抱いている物とは全く別の物で
おそらく"恋"だと思われる感情。


だから綱海さんと顔を合わせても、下を向いてしまったり
笑顔が引きつってしまったりしている自分。


まぁ綱海さんにはこの気持ち、理解出来ていないんだろうな…

綱海さんは天性の鈍感男だし、
ここは俺がハッキリ気持ちを伝えなきゃいけない!!


俺だって一応九州男児なんです!!
面と向かって、綱海さんに俺の気持ちを伝えてやりますよ!!



…なんて、そんな強気になれるのは心の中だけで、
実際の俺は綱海さんに会うだけで頭は真っ白になってしまう。


この気持ち、
一体どうすればいいんでしょう?


「どうした立向居、お前最近なんか変だぞ?」


俺は目の前の綱海さんの前で、
大きなため息をついてしまっていたようで目の前の綱海さんは心配そうに俺を見つめてきた。

本当に心配してくれてるらしくて、綱海さんの眉が少し下がっている。


いや、あの…綱海さんが心配してくれるのはすっごくすっごく嬉しいんですけど…

ちょっと顔が近すぎやしませんかコレ?!!


自分よりも頭一つ高い身長の綱海さんは、腰を屈めて
俺の顔を覗きこんでいる。



いやでも、ちょっと待って下さい!!この状況はある意味チャンスじゃないんですか?!

周りには誰も居ないし、綱海さんは俺の事しか見えてません!!

こんなに絶好の機会は
もう無いかもしれませんし…

よし!!こうなったらもう俺が告白するしかないですよね、綱海さんに!!



俺は決意を決めて、
じっと綱海さんの目を見つめた。


『あ、あのっ!!つ、つつ綱海さん…』

「ん?どうした?」

『えと、あの…そのですね…///』


あああダメだ!!お願いだからそんなキョトンとした顔で見ないで下さい綱海さん!!

そんな顔で見られちゃ俺…
もう頭が真っ白になっちゃいます!!


うわぁもう限界!!


極限ドアップ状態の綱海さんに
ギブアップにまで達した俺がとった行動、

それは…


『いや!!な、何でもありませんっ!し、失礼しますっ!!』

「え?あ、おいっ!!立向居!!」



そうです。
その場から真っ先に逃げたんです俺。


我ながらなんてヘタレな行動…。
九州男児に恥ずべき行動(泣)

自分が情けなくて情けなくて仕方ないです。

俺が変な行動をとったせいで、綱海さんには絶対変な奴だと思われてるだろうし…

いや、綱海さんの事だからヒドく心配してくれてるかもしれない。


でもまぁどちらにしても、
俺にとったら非常に綱海さんに申し訳ない事は確か。


俺は、そのままダッシュで逃げ帰ってきた後に自室でベッドに突っ伏。



ごめんなさい…
ごめんなさい綱海さん。

こんなに情けない奴で、
本当に恥ずかしいです。

もう俺が綱海さんを好きでいる資格なんてどこにも…



そう思ってまた深く布団に顔をうずめた瞬間、
バァンッ!!と自分の部屋のドアが勢いよく開く音がした。

その大きな音に、反射的に身体がビクゥッ!!と飛びあがる。


恐る恐るドアのある方向へと振りかえってみると…あれ?可笑しいな、綱海さんが立ってる。

俺さっきあんなに綱海さんに対して失礼な態度とったのに?

いやいやまさかそんなはずはない。幻覚か?


と思えば、ドアの先にいた綱海さんはドカドカと慌ただしく俺の目の前へ。


あ、やっぱり幻覚なんかじゃない。
正真正銘の綱海さんだ。


『え、あの綱海さんどうしてここに…?』

「んなもん決まってんだろうが!!お前に元気が無いから心配してきたんだ」

『えと、でも俺…』

「細けぇ事は気にすんな!!とりあえずコレでも食っとけ!!」


ポーンと綱海さんから、何個も何個も投げられてくるもの。


それは、綱海さんイチ押しのシークヮーサージュースやらゴーヤなどの沖縄食品。

俺はその意味の分からない物に対して小首を傾げた。


『あの、綱海さん。なんでゴーヤが…』

「馬鹿やろうお前。沖縄の食いもんはな、食うと元気になるんだぜ?」

だから、これ食って
早く立向居の元気な笑顔…みせてくれよ!!


ニカッといつもの笑顔で笑う綱海さんを見て、
またドキドキとうるさい俺の心臓。

本当に本当に俺はこの人が大好きなんだなと自覚する。



本当にズルい人です、
綱海さんは…。

俺はこの人と居ると、心臓がいくつあっても足りません。

どれだけ俺を夢中にさせれば気が済むんでしょう?


『綱海さん、』

「あ?なんだよ、さっさと食えって!!遠慮は要らねぇぞ?」

そうですか?
なら遠慮なく…


チュッ


「ん?え、ちょ、立向居お前?!ええぇぇえ?!!」

『ごちそうさまです、綱海さん♪』


顔を真っ赤にしながら、ほっぺたを押さえている綱海さんは本当に本当に可愛くて、


俺はいつかずっとそんな綱海さんの顔を見ていたいなと思った。


もちろん、
綱海さんから一番近いポジションの位置で…





end.

(でも…まずは告白から!待ってて下さいね綱海さん!!)
(た、立向居から…キスされちまった///)
(今度こそ九州男児の力、見せてあげます!!)



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