蒼海
□知らない姫君
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空を仰ぐ。
なんて青さ。
いつだって空はあんなにも青い。
その青さの中を鳥が飛んでいる。
こんな戦場でも、鳥は自由に飛びまわる。
地上では悲痛な悲鳴が響いているのに。
こんなにも、悲惨なのに。
お前は
なんて自由なのだろう。
海だろうと、
空だろうと、
山だろうと、
お前は自由に、
どこまでも飛んでいく。
地上はこんなにも血の臭いで溢れているのに。
地上にいる俺の手はこんなにも血で汚れているのに。
なんてお前は自由なんだろう。
その自由を俺は、羨ましいと思う。
もし、その翼があったのなら、
俺はきっと海へ飛んでいくだろう。
騎士だというのに。
そんなことを、
思ってしまう。
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