薄桜鬼book

□イタイヨ
2ページ/2ページ







霞む視界の向こうには、風間と沖田。
そして―――…可愛い妹、千鶴。
自分の傷口を眺めて、すぐに悟った。
ああ、俺はもう死ぬんだ。
そう自覚した瞬間に、痛みが俺を襲う。


「千鶴、千鶴っ……!」


痛い、痛い。
可愛い妹。大事で、大好きで、誰にも渡したくない。
手を伸ばし、可愛い妹を呼びながら、喘ぐ。
大事な、妹。俺の妹。


「…薫………。」


あきらかに動揺しながらも、千鶴はゆっくりとこちらに歩み寄る。
あともう少し、もう少し。
痛い。
つい視覚が消え去った。
見えない。

千鶴、見えないよ。

おまえが、沖田が、風間が、木が、土が、空が、草が、石が―――。
頭の中にあるのは、昔の光景。
仲の良かった兄妹が、一緒にいた時の光景。
闇の中にいても、千鶴の存在はすぐわかった。

もう少しで触れれる。
愛せる。
抱き締められる。
なのに――――――――。


「あ…―――。」


頬に地面の感触。
力尽きた。
死ぬんだ。俺は、もう、死ぬんだ。
嫌だ、千鶴、まだ、まだ…。
痛い、痛いよ。


痛いよ痛いよ痛いよ痛いよ痛いよ痛いよ痛いよ痛いよ痛いよ痛いよ痛いよ痛いよ痛いよ痛いよ痛いよ痛いよ痛いよ痛いよ痛いよ痛いよ痛いよ痛いよ痛いよ痛いよ痛いよ痛いよ痛いよ痛いよ痛いよ痛いよ痛いよ痛いよ痛いよ痛いよ痛いよ痛いよ痛いよ痛いよ痛いよいたいよいたいよいたいよいたいよいたいよいたいよいたいよいたいよいたいよいたいよいたいよいたいよいたいよいたいよいたいよいたいよいたいよいたいよいたいよいたいよいたいよいたいよいたいよいたいよいたいよいたいよいたいよいたいよいたいよいたいよいたいよいたいよいたいよいたいよいたいよいたいよいたいよいたいよいたいよいたいよいたいよいたいよいたいよいたいよいたいよいたいよいたいよいたいよいたいよいたいよいたいよいたいよいたいよいたいよいたいよいたいよいたいよイタイヨイタイヨイタイヨイタイヨイタイヨイタイヨイタイヨイタイヨイタイヨイタイヨイタイヨイタイヨイタイヨイタイヨイタイヨイタイヨイタイヨイタイヨイタイヨイタイヨイタイヨイタイヨイタイヨイタイヨイタイヨイタイヨイタイヨイタイヨイタイヨイタイヨイタイヨイタイヨイタイヨイタイヨイタイヨイタイヨイタイヨイタイヨイタイヨイタイヨイタイヨイタイヨイタイヨイタイヨイタイヨイタイヨイタイヨイタイヨイタイヨイタイヨイタイヨイタイヨイタイヨイタイヨイタイヨイタイヨイタイヨイタイヨイタイヨイタイヨイタイヨイタイヨイタイヨイタイヨイタイヨイタイヨイタイヨイタイヨイタイヨイタイヨイタイヨイタイヨイタイヨイタイヨイタイヨイタイヨイタイヨイタイヨイタイヨイタイヨイタイヨイタイヨイタイヨイタイヨイタイヨイタイヨイタイヨイタイヨイタイヨイタイヨイタイヨイタイヨイタイヨイタイヨイタイヨイタイヨイタイヨイタイヨイタイヨイタイヨイタイヨイタイヨイタイヨイタイヨイタイヨイタイヨイタイヨイタイヨイタイヨイタイヨイタイヨイタイヨ――――――――。


















































































































































―――……一緒に、居たいよ。







fin

前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ