パンドラ現パロ

□最高のショーの予感
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ザークシーズ=ブレイクは移動用のバスの中で本日何度目か知れぬ、大きなため息をついた。

自分がマジシャンとなって経営しているサーカス団でマジックをしていたら、口コミでいつの間にか有名になり、テレビに出演する事も多くなってきた。
マジックで有名になる事には文句は全くない。むしろ一番喜んでいるのはワイワイ騒ぐ団員よりも、一見落ち着いているかの様に見えるブレイク自身である。

今回苛立っている原因は、番組の担当がブレイクの意思も聞かずに、勝手に『高校訪問!おろしたてマジックショー!』なるものを入れた事である。
この企画を聞いてから急いで新しいマジックを考えたために睡眠時間を大幅に削られたブレイクは怒りを隠そうともせずに角砂糖を次々所口に放り込み、バリボリと噛み砕いていた。
ブレイクが不機嫌だと、肩に乗っているエミリーまでが不機嫌に見えるから不思議だ。

「ごめんって〜。帽子屋さんのマジックをどうしても兄さんに見せたくってさ。」

犯人…もとい企画考案者の青年は申し訳なさの欠片もなく、ニヤニヤと頬を緩めながら今日行く高校で働いているらしい兄への愛を聞きたくもないのにベラベラと語ってくる。

「ねぇ、帽子屋さん。聞いてる?」

「いいえ。聞きたくもありませんからネ。」

「え〜。つまんないなぁ〜、帽子屋さんは。じゃあ、僕は寝ておこうかな。」

諦めたらしい青年は肩をすくめると、頭から上着を被って眠りだした。

ブレイクは数秒もしないうちに眠りだした青年に呆れたようなため息をつき、余韻に浸る間もなく、あっという間に流れていくバスの外の景色を眺めながら最後の角砂糖を噛み砕いた。
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