パンドラ現パロ

□最高のショー
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「帽子屋さん、流石だね。兄さんも喜んでたよ〜。」

「あー、ハイハイ。そりゃどうも。」

控え室に入ったブレイクに称賛の言葉をかける例の企画考案者には目もくれず、ブレイクは控え室から顔だけを出してキョロキョロと辺りを見回した。

「お探しの彼ならあそこだよ。」

才能だけはある若い企画考案者もとい、ヴィンセントはブレイクの様子にニヤニヤ顔を隠そうともせずのんびりと言い、興奮する生徒たちを教室に帰らせているレイムを指差した。

「あ、ブレイクさん!」

レイムは自分に向けられた視線に気付いたらしく、生徒がいなくなるとブレイクの元に駆け寄ってきた。もう立派な一青年のはずなのに、駆け寄って来る時に転んでしまったりしないかと、一々不安にさせられる。

「本当に凄かったです!あんなに……あんなに凄いものは初めて見ました!!」

「おや、本当ですカ?ありがとうございマス。光栄ですネ。」

生徒同様に興奮で顔を上気させて言うレイムに、ブレイクはニッコリと笑い、指が長く神経質で綺麗な作りをしている彼の手を取った。

「楽しんでくれたみたいですネ。」

「は、はい!勿論です!」

レイムは自分の興奮っぷりに笑われたと思ったのか、照れたように少しだけ顔を赤らめながらもブレイクの手を遠慮がちに握り返した。

ヴィンセントは二人の様子をニヤニヤしながら見守っていたが、見せつけるように肩をすくめ、「ギルー!」と叫びながら黒髪の青年に向かって走っていった。

「…もうこちらにいらっしゃる機会はないんですよね…。」

レイムは少し短めの眉を下げて微笑んでみせた。

ブレイクの胸にチクリと何かが刺さった。


「来る機会は…多分ないデス。…レイムさん。」

「はい?」

「携帯電話の番号と、アドレス。教えてくれませんカ?」

ブレイクの言葉を理解したレイムの顔がパアッ…と明るくなった。眼鏡の奥の綺麗な明るい色の瞳がキラキラと光っている。

「え、そんな…い、い、いいんですか!?」

「えぇ。私、レイムさんともっとお話したいので。いいですカ?レイムさん。」

ブレイクがクスクスと笑いながら携帯を取り出すと、レイムはアワアワと落ち着かない手つきで携帯を取り出した。




帰りのバスの中、ブレイクは携帯の液晶にうつった番号とアドレスをジッと見つめた。

「…行きの様子からは想像もできないくらいご機嫌だね。帽子屋さん。」

「…フッ、まぁ…久しぶりに楽しかったですヨ。君に感謝する日が来るのは癪ですがネ。」

「そう?じゃ、これは貸しにしておこうかな。」

「調子に乗らないで下サイ」

ブレイクは窓の外をゆっくりと流れていく景色を目に焼き付けようと視線を外にうつした。








<後書き>
はぁーい!カットカット!(笑)ヴィンスが無駄にでしゃばりおった(笑)

早く付き合っちまえよ!じれってぇな!←コラ(笑)
 

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