パンドラ現パロ

□遠くにいる君
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ブレイクと出会って1ヶ月が過ぎたある休日、レイムはブレイクと待ち合わせた場所で光速ほどのスピードで眼鏡を拭いていた。そろそろ眼鏡が熱をもってきた頃、緊張をごまかす様な大きなため息をついた。

「どうしよう…。」

出会ってからブレイクは毎日の様に電話をしてきた。レイムは、どんなに疲れていた日でもブレイクと話すと不思議とリラックスした楽しい気分になれた。

「電話だと相手の表情が見えないから普通に会話ができるが…実際に会ったら…あぁ……どうしよう。」

「何がですカ?」

「うわっ!?」

突如聞こえた声に危うく倒れかけたが、声の主がさりげなく支えてくれたため、転倒を免れた。

「ざ、ザクス…さん。」

「プッ…だから『さん』はいらないですって。」

「あ、すみません…」

楽しそうにクックッと笑うブレイクに思わず頭を下げた。顔が熱いのは笑われたからに違いない。
レイムはブンブンッと頭を振った。

「会いたかったですヨ。レイムさん。」

「!?」

思わず顔を上げると、ブレイクがニッコリ笑ってレイムの手を取った。

「んじゃ、行きましょうカ。」

「あ、は、はい!」

ブレイクに半ば無理やり手を引っ張られ、若干よろめきながらもレイムは赤い顔を隠す間もなく歩き出した。
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