捧げ物
□ごめんね
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ブレイクが部屋を出ていった後、レイムは今日何度目か分からないため息をついた。
「…」
自分が生きていると分かった時のリリィの嬉しそうな表情が頭から離れない。
謝りたい事はたくさんありすぎる。リリィを撃った事も、ファングの事も…
考えていたら瞼がまた熱くなってきて、ギュッと目をつむった。
「…ごめん…リリィ…。」
そう呟いた瞬間にガタッ!という椅子でも倒れたかのような音が部屋の隅から聞こえた。
「レイム!」
「!?」
聞き覚えのある少女の声にカッと目を開くと、目の周り周りが赤くなっている青い大きな瞳と視線が絡んだ。
リリィはパァ…ッと泣きそうな顔で笑い、レイムにギュッと抱きついた。
「レイム!良かった!本当に!レイムは生きてたんだな!!」
衝撃からの痛みに少しだけ顔をしかめたが、言うことを聞かない体を無理やり動かし、しがみつくリリィを優しく抱きしめ返した。
「リリィ…ごめん…!ごめんね?」
温かいリリィを抱きしめた瞬間に感情が溢れだし、目からポロポロと涙が出てきた。
「いいんだ!私もごめんな?まだ痛いか?」
「いや、大丈夫…だよ。」
「なぁ、レイム。私達、まだ友達になれるか?」
リリィは涙の溜まった大きな目でまっすぐレイムを見つめた。
「…まだ君は…リリィは、私と友達になりたいと思ってくれているのか?」
「もちろんだ!」
レイムはクスッと笑い、リリィの頭を撫でた。リリィは答えを待つようにジッとレイムを見ている。
「私でいいなら、リリィと友達になろうかな。」
「…!本当か!やったぁ!ありがとうレイム!傷つけてごめん!大好きだぞ!」
嬉しそうにぴょんぴょんと跳ねるリリィを見ていたらずっと心に残っていた冷たい何かがゆっくり溶けて、温かくなってきた気がした。
「…ほらね、リリィ君。分かったデショウ?…もうそろそろお帰りなさい。誰かに見つかると色々と面倒ですからネ。」
突然聞こえた、出ていったはずの声に驚いて視線を向けると、ブレイクがつまらなそうに扉に寄りかかっていた。
「ザクス…」
「ほら、レイムさんはまだ寝ていて下サイ。私は悲しい顔のレイムさんをこれ以上見たくなかったからこの子を連れてきたんデス。あとはゆっくり傷を癒して下サイ。いいですネ。」
ブレイクはツカツカと歩み寄ってリリィの手をとった。
「ほら、行きますヨ。リリィ君。」
「あぁ!分かった!ありがとう、ブレイク!」
リリィはレイムの頬にチュッと可愛らしいキスをすると、相変わらずつまらなそうな顔のブレイクに手を引かれて二人で部屋を出ていった。
「フフッ…親子みたいだな…。」
残されたレイムは思わず一人で呟き、クスクスと笑いながら目を閉じた。
人生で一番いい夢が見られそうな気がした。
[後書き]
エミリー番長の部下Fさん!遅くなってすみませんでしたああぁぁ!(スライディング土下座)
ほのぼの!?俺よ!ほのぼのなのか、これは!(汗)
返品はいつでも受付中ですので!
完全にママのお見舞いに来た父子ですよ、こいつらは(笑)
そして何となくつまらないザクス兄さん(笑)