パンドラハーツ

□最愛の君を飾る…
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その日は自分が主役なのだと何度も両親に言われていたにも関わらず、その日の朝、いつも通りスケジュールを確認しようと手帳を開いたレイムは、その日が自分の15歳の誕生日だと気付いた。

成人の儀には、(レインズワース公爵家のシェリル女公爵が来るからに違いないが)主人のバルマ公も来るらしい。公爵家の人間が二人も来れば忙しさも比例する。
忙しさの証拠に、トレードマークの眼鏡はいつもに増してピカピカで指紋一つない。

「…つ、疲れた……。」

バルマ公にいつもの倍弄られ、顔馴染みの客人にも散々弄られ…つまりはいつもの数倍弄られたレイムはすっかり干からびて、人の来ない廊下で文字通りぐったりとしゃがみこんだ。

「レ〜イムくんvv」

「んぎゃあっ!!」

何の前置きもなしに肩にひたっ…と手を置かれたレイムは数センチ跳び上がった。

「お誕生日おめでとうございマ〜スvv」

「ザクス!おどかすな!ビックリしただろう!」

肩に青い肌の不気味な人形を乗せたブレイクはドッキリ成功と言わんばかりのにやけ顔でレイムのデコをつついた。裸足なのは足音をさせないためだろう…その配慮を頼むから別の所に使ってほしい。

「いや〜、レイム君も15歳デスカ。会った時は11歳の生意気でチビなクソガキだったのに…うん。まだ私の方が大きいデスネ。」

「な…クソガキとはなんだ!そう言うお前は相変わらずだろう!」

「…あ、成人って事はレイム君じゃなくてレイムさんになるんですかネェ。」

「人の話を聞け!」

レイムの話を清々しい程に無視するブレイクにまたイライラが募る。

「お前は何をしに来たんだ!」
「え?プレゼントを渡しに来たんですケド。」

「ぅえ?」

予想していなかった答えに思わず変な声が出た。
ブレイクは心から楽しそうにクックッと笑った。

「だから、プレゼントをあげに。はい、どーぞ。」

ズイッとリボンのついた小さな箱を押し付けられた。
「え、あ…ありがとう。」

ブレイクは、思わず顔が赤くなったレイムを楽しそうに見ていた。

「開けないんデスカ〜?」

「…変な物じゃないだろうな。」

「そんな事ないデスヨ〜。私がそんな幼稚な事する人に見えマスカ?」

「見える。」

胸を張るブレイクに即答しつつ、リボンと包みを丁寧に解いてみた。
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