パンドラハーツ
□主たる者の務め
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変人で名の知られるバルマ公爵こと、ルーファス・バルマはそれまで読んでいた本をドスッと机に置いた。
最近、子供の時からバルマ公爵家に仕えていたレイムの元気がない。
主人であるバルマの前では、少々(かなり)怯え気味だが笑顔を見せている。
「…つまらん。ガキはガキらしく表情に出せば面白いのにのう。」
バルマはパチン…と扇子を開いたり閉じたりを繰り返していた。
「気に食わんのう…。」
まず、自分に長年仕えている者についての情報が不足している事。そして、その者が自分に隠し事をしている事。
あげればキリがない。
「フム…」
バルマはイタズラを思い付いた子供のような表情を浮かべ、パチンッ!と大きな音をたてて扇子を閉じた。
「フフッ…どんな反応をするかのう。」
シェリル曰く、体の成長とともにオツムの成長まで止まってしまったルー君は再び本を手にとると、「楽しみじゃのう、楽しみじゃのう…」と鼻歌混じりにページをめくり出した。
…もし今、ここにレイムが入ってきたら泣きながら土下座をして、眼鏡を拭きながら逃げ去ったかもしれない。