パンドラハーツ
□言えるはずがない!
1ページ/2ページ
「レイムさんは、ブレイクに愛してるっておっしゃったことはありますの?」
シャロンの唐突過ぎる発言に、手に持っていた書類一山が丸々崩れ去った。
「へ!?な、はぇ!?おっしゃった事はご、ございませんですが…」
あまりに慌てすぎて変な言葉になってしまったレイムを見て、シャロンはおかしそうにクスクスと上品に笑った。
「あら、そうなんですか?たまにはブレイクに愛してるって言ってみてくださいね!男は不意討ちに弱いんですのよ!!本に書いてありましたもの!」
「は、はい…!!」
乙女モード全開で語り出したシャロンにレイムは若干怯えつつ返事をした。レイムの書類を拾うのを手伝うと、シャロンは優雅に去っていった。
『愛してる』
レイムは頭の中でその言葉を繰り返してみた。
たった四文字だ。
「私に言えるはずがない……。」
ギルバートと張り合えるレベルのヘタレなレイムである。好き、の二文字すら言えないのに……と、頭を抱えてため息をついた。