パンドラハーツ
□jealousy
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レイムはチラチラとせわしなく視線をある一点にさまよわせ、ため息をつき、眼鏡を拭くサイクルを繰り返していた。モヤモヤするようなこの気持ちは、あまり気持ちがいいものじゃない。
『全く…ザクスめ…』
「……ぃ、……ぉ……おい!聞いてるのか!眼鏡!!」
「はぃっ!?」
突然耳元で怒鳴られて、危うく鼓膜が破れるかと思った…。眼鏡……まぁ間違いなく、レイムの事だろう。パンドラではオスカーかレイム以外、眼鏡はあまりいないから。
レイムは声の主を探した。……?いない。元々耳が悪かったのか?とうとう幻聴が聞こえたのか?疲れてるんだ。うん。
「ここだ!馬鹿眼鏡め!」
「ぴょっ!!?」
鳩尾に綺麗なチョップが決まり、思わず腹を押さえると、腕組みをした小柄な少女が視界に入った。
「ア゛…アリス様……。どうなさいま痛ッ…。」
「お前!」
聞いている途中に額にデコピンされた。痛い。地味に痛い。ウサギは大人しいなんて嘘だ…。ミッ○ィーだって本当はきっと凶暴なんだ…!
そんな事を考えていると、アリスがレイムの視線が先ほどからさ迷っている所を見た。
「お前、ピエロとシャロンがどうかしたのか?」
「……っな!」
心臓が飛び上がった。
レイムが先ほどから見ていたのは、シャロン=レインズワースと使用人のザークシーズ=ブレイクの二人だった。
まさかアリスに気付かれるとは思いもしなかった。
「いや、あのっ……シャロンお嬢様と…仲がよろしいな…と……。」
アリスは「ふむ…」と考える様に顎に手を当てた。
「……!分かったぞ!!」
「分かったというのは…?」
パアァッと、何か新しい事を発見した小さな子供ように笑顔を見せるアリスにレイムは思わず笑顔になった。尋ねるレイムにアリスは自慢気にフンッと鼻を鳴らした。
「フッフッフ…!!それはな!『じぇらしー』と言うんだぞ!!!シャロンが言っていた!!!」
レイムの中で何かがピシッと止まった。レイムはアリスの大声にバッと辺りを見回した。周辺のパンドラ職員達が不思議そうに二人を見ている。
「あ、アリス様…。」
自慢気にニコニコ笑うアリスに動揺しながら、チラリと視線をブレイクの方に送るとバチッと目が合った。
「!!」
ブレイクはニッと笑って、レイムに見えるように大きく口をパクパクと動かした。
『嫉妬。』
カァッと赤くなったレイムがブレイクを蹴飛ばしに向かうのは、あと三秒後の事だった。
[後書き]
アリスとレイムさんの絡みを書きたくなって…(笑)多分、眼鏡って呼ぶんだろうな。三月ウサギって呼ばれたら禿げる。僕が(真顔)
ブレイク二言しか喋ってないぞwww
シャロンちゃんはアリスに親指立ててます(笑)