パンドラハーツ
□僕を頼って?
1ページ/3ページ
パンドラの凝ったデザインの窓の外でフワフワの雪が降っているのを鼻歌混じりに眺めながら歩いていると、レイムが前から早足で歩いてきた。
「あ、レイムさん。…………おや?」
ブレイクが話しかけたが、レイムは俯いたまま早足でブレイクの脇を通りすぎて行ってしまった。
レイムはお人好しで真面目な性格上、どんなに忙しくても人に呼ばれれば足を止める。スルーなんて言葉はレイムのお堅い辞書には載っていないのだ。
載っているとしたら、ブレイクのくだらない発言をスルーする…といった所だろう。
「……ハハーン…何かありましたネ?」
「何が?」
ブレイクが誰に言うでもなく呟くと興味津々の表情をしたオズがブレイクの背後からヒョコッと出てきた。
「オズ君…盗み聞きデスカ?全く…趣味の悪い餓鬼デスネェ。」
「ハハハ!ブレイクには言われたくないな!それに、独り言を言ってたのはブレイクの方でしょ?で、レイムさんはどうかしたの?」
子供らしい無邪気な笑顔の裏にどす黒いオーラを出しながらオズがレイムが去った方を見て言った。
本当に察しが良すぎて生意気な餓鬼だ…とブレイクが頬を引きつらせたのは言うまでもない。
なんとか頬を引きつらせるだけに留めたピエロの鑑はハァッと大きく息を吐き出した。
「まぁ…何があったかは知りませんケド……落ち込んでマスネ。確実に。」
「行ってあげた方がいいんじゃないの?ブレイク。お姫様のピンチでしょ?」
オズがからかう様にニヤニヤと笑いながらブレイクを突っついた。
「ハハッ!オズ君に言われなくなくたって分かってマス〜!私を誰だと思ってるんデスカ。」
ブレイクはヘッと笑ってオズの脇を通り抜けてレイムのいるであろう場所へ歩き出した。ブレイクの背を見ながらオズが大きく欠伸をした。
「あーあ、レイムさんも幸せだよね〜何だかんだ言いながらさ。ね、シャロンちゃん。」
「フフフ…そうですわね。」
オズが影に話しかけるとシャロンが楽しげに言う声が聞こえた。
「ちぇー、ギルでもからかってこよーっと!」