ワンピース

□負けないんだからな!
1ページ/1ページ

ハルタは珍しく、土曜日だというのに朝早く起きた。勿論、これには理由がある。部屋をそ〜っと出て冷たい廊下を裸足で歩く。…一度、床暖にしてくれとエースと一緒に頼んだ事があるが、「何のためのスリッパだ。ゴキブリ潰すためじゃねぇんだよい。」とマルコに言われただけだった。そういうマルコはどうなんだ。

ひたひた…と歩いて台所を覗くと、予想通りの後ろ姿が見えた。艶のある、黒い長めの髪を結った姿を確認するとハルタは思わず微笑んだ。

「おはよ!イゾウ!」

「お、ハルタか。お早う。珍しいな、ハルタが早く起きるなんて。…今日は晴れだって聞いたんだが…。」
イゾウはニヤッと悪戯っぽく笑った。色白で、そこらの女の人なんか足元にも及ばないような美しい顔に男らしい笑みが浮かぶ。
美しい容姿は勿論、案外男らしい性格も何もかもにハルタは惚れていた。

「今日はイゾウが朝飯当番だから早く起きたんだ〜。」

てて…と駆け寄り、イゾウに抱きついた。イゾウは「おっと…」と言ったが、すぐに笑ってハルタの頭を軽く叩いた。

「危ねぇだろ。」

「ねぇねぇ!朝飯何?」

「鮭と味噌汁と納豆。文句は受付ねぇぞ。」

「まさか!イゾウが作る物に文句なんてないよ!」

イゾウに強く抱きついたら、背後から頭に温かい手の感触がした。

「よぉ、ビスタ。相変わらず早いな。お早う。」

「いい朝だな。イゾウ、ハルタ。今日も綺麗だ、イゾウ。」

「そういうのは女に言えよ。胸毛紳士。」

ビスタの言葉を笑い飛ばすと、イゾウは何かを探しだした。

「味噌どこだっけ?」

「その棚の上。」

イゾウの言葉にハルタが答えた。ビスタに嫉妬の炎を燃やしながら。ハルタの周りから黒い何か別世界の生き物がヌラヌラ出てきているのは幻覚か、本物か。

「…昨日の当番誰だよ。あんな高い所置きやがって。……あぁ、味のサバイバルだったからクリエルか。面倒くさいな。」

「俺が取ろう。」

ビスタはそう言いながら、味噌をイゾウに渡した。

「流石紳士。サンキュ。」

「どういたしまして。」

ビスタは、絶賛別生物召喚中のハルタを見てウィンクした。

「はははービスタはすごいねー。背が高いっていいねー。でもさー、背が高すぎるのも考えものだと思うんだよねー。だってさー好きな人とキスもできないじゃん?はははー。」

ハルタは天使顔負けのとびきりの笑顔をビスタに向けた。ハルタの背後にいた別生物はハルタに怯えて盗んだバイクで走っていった。
ハルタと同じ学校のホーキンスならビスタに死相が見えていたかも知れない。

だが、薔薇の似合う天下の胸毛紳士は想像の遥か上を行った。


「それも一理あるが…。」

ビスタは二人の事など全く気にしていないイゾウの肩に手を置き、白い頬にキスをした。

ハルタの周りにブリザードが起きた。

「おい…何してんだ、ビスタ。お前…。」

イゾウはキスをされた所を細く長い指でさすった。目を細めて相手を見下す様にするのは照れているときのイゾウの癖だ。

「いや、まだ美しい人に送る朝の挨拶をしていなかったな、と思ってな。朝風呂にでも入って来よう。」

「あぁ、そうしろ。胸毛馬鹿紳士め。ハルタはどうする?」

「あ、俺?一度部屋に行って友達に貰ったやつで遊んでるよ!ご飯になったら呼んでね!!」


ハルタはそう言ってイゾウにまた抱きつき、手の甲にキスをすると、ビスタに親指を下に向けながら台所から立ち去ったのだった。


「あ、ハルタおは…「殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す………」

今起きたらしく廊下を談笑しながら歩いていたラクヨウとクリエルがハルタの纏う、悪魔も泣いて逃げ出すような黒いオーラと、それに似つかわしくない輝く笑顔に思わず反対方向にダッシュで逃げ出した。


この後、ハルタの部屋に入ったエースが、笑いながら藁人形を打つハルタを見て心臓発作を起こしかけたらしい。



[後書き]
なんだこれ(笑)ギャグを書こうと思っただけだったんですが…ハルタ怖い(笑)
ハルイゾ…ビスイゾ…ねぇな、需要は(笑)俺得俺得ww
 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ