ワンピース
□家族
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エースはいつものように目覚まし時計を一つ破壊し、むっくりと起き上がった。無駄に体がだるいが原因になりそうな事を何一つ覚えていない。
「腹減った〜…」
大きく欠伸をしながら、小さな焼き焦げがいくつもついたカレンダーを見た。
「あ〜正月か…。あ、昨日飲みすぎたんだな。なるほど…。」
エースは一人納得すると適当に黒のTシャツの上に上着を羽織った。エースは別に上半身裸でも構わないのだが、船員全員からの懇願のためである。
「今年も忘れられるんだろうなー。三人覚えてりゃ十分か…。」
エースは本日二度目の大あくびをして廊下に出た。隊員たちが忙しなく駆け回ってるだろうと思ったそこは予想外にも、誰もいなかった。
「…あれ?そんな寝ちまってたかな?いや、始まってても人はいるだろうしな。」
エースは首を傾げ、ちょうど目に入った四番隊隊長のマークの部屋の扉を開いた。
「サッチー?…サッチもいねぇのか。」
三番隊隊長の部屋も開けてみる。
「ジョズ?何だ?隊対抗かくれんぼ大会…じゃないよな。流石に。」
次々と部屋を開けてみたが、どの部屋にも誰もいない。ナミュールの部屋に金魚がいたくらいだ。
船全体が、誰もいないみたいに静かだ。正月とは思えないくらいに。
「…甲板…ならいるよな?」
エースは帰り道が分からなくなった子供の様な気持ちになり、思わず早足で廊下を抜け、甲板の扉を開いた。
ドギュン!!バン!ズガアァン!!
「「「ハッピーバースデー!!エース!!!」」」
戦争かと思う程激しくバズーカの発砲の後、どこから出てきたのかわらわらと並んだ船員がどや顔で拍手をしていた。
「…は?な、何事これ。」
「このアホンダラ!てめぇの誕生日だろ!」
袴姿のサッチがエースの頭をお玉で殴った。
「すげぇだろ!?正月だからって忘れられるのは可哀想だから、どっちも盛大に祝えばいいじゃねぇかって、マルコが言ったんだよ!」
サッチ同様に袴姿のハルタがニカッと笑った。
「おい、ハルタ。余計な事言うんじゃねぇよい!」
どうやら今日は全員袴姿らしい。船縁に座っていたマルコは照れたように頬をかいた。
「ま、マルコおおぉぉ!」
飛び付いてきたエースごと危うく海に落ちそうになったマルコはエースの頭を軽く小突いた。
「危ねえだろうがよい。全く…。」
「エース!親父が呼んでるぜ。」
イゾウだけ女性様の着物なのはスルーした方がいいのだろうか、ガン見してもいいのだろうか。
「グラララ…エース。めでてえなぁ。」
「お!親父!!」
聞こえた白ひげの声にエースはマルコから離れ、急いで駆け寄った。
「グラララ…!バカ息子が…。」
白ひげが大きな手でエースの頭をわしゃわしゃと撫でた。
エースは顔を赤らめたがヘヘッと笑った。
「おめでとう。生まれてきてくれてありがとな。」
「親父…!」
顔を上げたエースが少しだけ涙目で白ひげに抱きつきそうになった瞬間にサッチがガバッとエースに抱きついた。
「させるかぁ!!よっしゃ!野郎共!エース誕生と新年を祝って!宴だ!宴だあああぁ!」
うおおおぉ!という雄叫びが船全体から響き渡った。
「おい!くそサッチ!リーゼント!邪魔するなよ!」
「オホホ!悔しかったら捕まえてごらんなさーい!!」
全力で逃げるサッチをエースが同じく全力で追いかけた。顔が自然と笑顔になるのは幸せだからにちがいない。
「誰かサッチに足払いかけろい!」
「ちょっ!マルコひどい!」
「エース!バズーカ使え!バズーカ!」
「リーゼント狙えよー!」
「今年も賑やかになりそうだな、親父。」
ビスタが白ひげを見上げて笑った。
「グラララ…今年も…息子たちが無事に生きていられる事を祈るばかりだ…。」
「守るために家族がいるんだろ?」
「分かってんじゃねぇか。グラララ!小僧が。」
ビスタの言葉に白ひげが豪快に笑い、バズーカをサッチに向けて追いかけるエースを見た。
「愛する…あのバカ息子もやっと家族が分かってきたな。グラララ!」
白ひげが酒を傾けた瞬間にモビーにバズーカ音が響いた。
(おまけ)
「やべぇ!リーゼント焦げたぞ!?」
「あー、惜しかったな!エース!」
「よし!俺が押さえておいてやるから存分に撃てよい!」
「ちょっと!マルコさん!それ俺の命が危ない!」
「大丈夫だ。ゴキブリ並の生命力を見せつけるチャンスだ!よっしゃ!マルコ行くぞー!」
「おい!」
[後書き]
久しぶりに真面目に書いたつもりがちょいちょいふざけてますな(笑)
真面目?何それ美味しいの?(笑)
エースお誕生日おめでとう!大好きだ!