ワンピース

□おんぶの帰り道
1ページ/2ページ

やっちまった。

キッドはそう思って頭を抱えた。ここはある居酒屋で、向かいにはローが座っている。

「ん〜?どした、ユースタス屋ぁ…。」

ローは酔っていた。飲みはじめてまだ一時間たっていないというのに。
ローは酒に弱そうには見えないし、大丈夫だろうと思ったのが間違いだったようだ。キッドは自分の判断を呪った。

「ユースタス屋ぁ〜、俺医者になれる気しねぇ〜。」

ローは机にバンッと倒れ込んだ。

「今…痛くなかったか?」

「…痛い。なぁ〜、ユースタス屋〜!医者になれなかったらどうしよう俺〜!」

ローはとろんとした目をキッドに向けた。酔った人物特有の色気を漂わせるローに、キッドは思わず顔を赤らめて視線を反らした。ずっと直視したら理性がもつか分からない。

「何で視線反らすんだよ!」

「うわっ!痛ぇ!痛ぇって!殴るな!蹴るな!」

「だったら俺見ろよ〜!!」

キッドは泣き出しそうなローの声に諦めて深呼吸をすると、ローと向き合った。

頬は赤く染まり、とろんと眠そうな海色の瞳が潤んでいる。普段のプライドの高いローはどこへ行ったのか…

「トラファルガーなら大丈夫だっつーの…。お前が駄目だったら医者になれる奴この世にいねぇよ。」

「…本当?」

「ああ。約束してやる。それに、もし駄目だったら俺の嫁でいいじゃねぇか。」

「あぁ〜…それは遠慮する。」

「なんでだよ!!そこは喜べ!!……まぁ、いいや。帰るぞ。ロー。」


キッドはため息をついてローを立たせた。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ