ワンピース
□おんぶの帰り道
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やっちまった。
キッドはそう思って頭を抱えた。ここはある居酒屋で、向かいにはローが座っている。
「ん〜?どした、ユースタス屋ぁ…。」
ローは酔っていた。飲みはじめてまだ一時間たっていないというのに。
ローは酒に弱そうには見えないし、大丈夫だろうと思ったのが間違いだったようだ。キッドは自分の判断を呪った。
「ユースタス屋ぁ〜、俺医者になれる気しねぇ〜。」
ローは机にバンッと倒れ込んだ。
「今…痛くなかったか?」
「…痛い。なぁ〜、ユースタス屋〜!医者になれなかったらどうしよう俺〜!」
ローはとろんとした目をキッドに向けた。酔った人物特有の色気を漂わせるローに、キッドは思わず顔を赤らめて視線を反らした。ずっと直視したら理性がもつか分からない。
「何で視線反らすんだよ!」
「うわっ!痛ぇ!痛ぇって!殴るな!蹴るな!」
「だったら俺見ろよ〜!!」
キッドは泣き出しそうなローの声に諦めて深呼吸をすると、ローと向き合った。
頬は赤く染まり、とろんと眠そうな海色の瞳が潤んでいる。普段のプライドの高いローはどこへ行ったのか…
「トラファルガーなら大丈夫だっつーの…。お前が駄目だったら医者になれる奴この世にいねぇよ。」
「…本当?」
「ああ。約束してやる。それに、もし駄目だったら俺の嫁でいいじゃねぇか。」
「あぁ〜…それは遠慮する。」
「なんでだよ!!そこは喜べ!!……まぁ、いいや。帰るぞ。ロー。」
キッドはため息をついてローを立たせた。