ワンピース
□こんな誕生日
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体温計の電子音が鳴ると、キッドは頭に響くそれに舌打ちをしながらも体温計を引き抜き、いつもよりも数割増しにダルそうに数字を見た。
「…38℃かよ…。」
再び舌打ちをしたキッドは体温計を適当に放り投げ、ブルッ…と身震いをしながらベッドの中で引き締まった長身の体を丸めた。
今日は1月10日。キッドの誕生日である。珍しくローからのデートの誘いがあったというのに…キッドは毛布に顔を押し付け、ため息をついた。
「誕生日に熱出すとか…ゲホッ!ゲホッゲホッ!!」
キッドは激しく咳き込みながらも携帯に手を伸ばした。早めにローに連絡をしておきたかったのだ。
『マジで悪い。今日、忙しくてデート無理そうだ。』
電話だと声で具合が悪いとすぐにバレそうだと回転の悪い頭でボンヤリと考え、細かい作業が苦手なキッドにしては珍しくメールにした。余計な心配をローにかけさせない内容かをチェックし、送信ボタンを押す。
「あ゛ー…デート行きたかったな…ゲホッ!ゲホッ!」
咳をすると頭に響く。キッドは常にシワの寄っている眉根のシワを更に深くした。
ピピピピ…!
「…トラファルガーだ…。怒ってる…か…?」
恐る恐るメールを確認すると、短すぎる返事が目に飛び込んできた。
『くたばれ』
「…う…わ……めちゃくちゃ怒ってる…これ……」
キッドは静かな怒りがあふれでている返信にガックリと項垂れ、そのまま重い瞼を閉じた。