パンドラ現パロ

□最高のショーの予感
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ブレイクが高校に着くと、高校は既にスタッフだらけだった。

「あ、こんにちは!ブレイクさん!体育館の部室の一つを控え室にさせてもらったので、あそこの体育館に行ってください!行けば、ここの高校の先生が案内してくださるそうなので!」

スタッフの内の一人がテキパキと体育館への行き方を手早く説明し、ブレイクはその方向に歩き出した。


「こういう忙しいのは好きじゃないんですけどネェ〜…。ん?」

ブレイクは誰に言うでもなく呟いていたが、体育館の扉の前に立つ青年を見て足を止めた。

スーツを着ていなければ真面目な生徒会長辺りかと間違えたかもしれないほど若い青年が立っていた。
眼鏡の奥から覗く瞳は髪とお揃いの甘そうなハニーブラウンで、今はその視線をスタッフに渡されたのであろう書類の束に落としている。

ブレイクは何故か彼から目が離せなかった。

「あの〜、先生…ですカ?」

ブレイクが声をかけると、人が近づく気付いていなかったのか、青年は飛び上がった。

「あ、はい!!ざ、ザークシーズ=ブレイク様ですね?本日はよろしくお願い致します。」

最初はオドオドとしていたが、しっかりとした敬語で言い、深々と頭を下げた。

どうやら、かなり真面目な青年らしい…ブレイクは思わずクスッと笑った。

「ハイハイ。よろしく。」

「控え室なのですが、こちらになります。」

ブレイクが挨拶をし返すと青年はニッコリと微笑み、案内をするようにブレイクの前を歩いた。

後ろを歩いてみて気が付いたが、青年は痩せている割りに背が高いらしかった。

「君、名前は何ていうんですカ?」

「あ、申し訳ありません!」

ブレイクが尋ねた言葉に大袈裟過ぎるほど、慌てた青年は律儀にブレイクを振り返った。

「私、レイム=ルネットと申します!国語教師です!」

「フフ…レイムさんですネ。よろしく、レイムさん。」

アワアワする様子が可愛らしくて笑いながら手を差し出すと、レイムも照れた様に笑いながら握手をかわした。

「レイムさんはマジックは好きですカ?」

「はい。子供の時には何度もマジックショーを見に行きました。最近は全然ですが…」

「そうなんですカ〜。じゃあ、久々のマジック、楽しみにしていてくださいネ。私の『おろしたて』ですカラ。」

『おろしたて』を強調するとレイムがクスッと笑った。

「大変だったでしょう?マジックを考えろなんて…」

ブレイクは思わずきょとんとしてしまった。さっきまでの考えを読まれたのかとも思ったが、流石にそれはあり得ない。

「えぇ…。全くですヨ。了承もしてないのにいきなり作れって…クソ企画考案者が…。」

「…確か、ギルバートさんの弟さんでしたね。」

大袈裟にため息をつき、嘆かわしいと言わんばかりに首を振るブレイクに、レイムも彼を知っているらしく苦笑した。

気付けば控え室の前に来ていたらしく、レイムが扉を開けた。

「どうぞ、こちらです。」

部屋の中に入ったブレイクは重い荷物を下ろした。

こんなに控え室に着いたのが恨めしい事は未だかつて無かった気がした。

「では改めまして、本日の件、よろしくお願い致します。生徒達もとても楽しみにしているんですよ?…では、失礼します…。」

「あ、ちょっと!」

扉を閉めようとしたレイムの手を咄嗟に掴んだ。
レイムは驚いたように目をしばたかせた。近くで見ると、やはり綺麗な明るいハニーブラウンの瞳をしていた。

「…今日、楽しみにしていて下さいネ。レイムさん。終わった後、またお話しまショウ。」

ニッコリ笑って言うと、レイムの顔に笑みが広がった。

「い、いいんですか!?またお話させて頂いても!?」

「もちろん。だからしっかり、見ていて下さい。約束ですヨ?」

「はい!失礼します!」

レイムは明らかにウキウキしたような表情で扉を閉めた。パタパタと走っていく音が軽やかだった。

「…クスッ…さぁて、頑張らなくちゃね、エミリー。」

さっきまでの苛立ちが嘘の様に消え去った代わりに、今までの中で最高のショーができる予感とウキウキとした期待だけが残っていた。
ブレイクは肩に乗せていたエミリーを近くのテーブルに下ろすと、マジックの準備を始めた。







<後書き>
長編って難しい\(^o^)/
ブレイクがブレイクらしくナッシブル!(笑)
レイムさんがレイムさんらしくナッシブル!(笑)
全てがナッスィボー(←英語的発音)な出会い編!続きます!

Webで!←Webがここだ(笑)
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