パンドラハーツ
□最愛の君を飾る…
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はいっていたのはリングの付いている、洒落たイヤリングだった。
「…イヤリング?」
「そうデスヨ。レイム君…レイムさんは地味ですからネェ。」
「悪かったな!地味で!!」
レイムはブレイクの言葉に食いつきながらも、イヤリングを手にとってじっと見つめた。
「…気に入りませんでしたカ?」
おや?と、ブレイクが顔を覗きこむと、レイムは首を横に激しく振った。眼鏡が落ちるんじゃないかと思うくらいに。
「そうじゃなくて…こんなの…私に似合うのか?」
レイムはポツリと言った。
「……ぷっ。」
「!?何笑ってるんだ!!」
笑いだしたブレイクにレイムは真っ赤になり、空いている手で掴みかかった。
「ゴメンナサーイ。降参ー」
両手をあげて棒読みで謝るブレイクに、レイムはプイッと顔を背けてしまった。
「クスッ…すごくよく似合うと思いマスヨ?」
ブレイクはイヤリングをレイムの手の上からつまみ上げると、レイムの耳にくっつけた。
「ほーら、よく似合う。君は地味なんだからイヤリングくらいしても罰は当たりませんヨ〜。」
「う、うるさい!地味地味言うな!」
レイムはイヤリングをひったくった。
「レイム君…レイムさん、顔真っ赤〜。」
「うるさい!馬鹿ザクス!」
顔の赤さをブレイクが見逃すはずはなく、からかえば、レイムは背を向けてしまった。
「レイムさ〜ん。」
「何…」
振り返ったレイムをブレイクはぎゅっと抱き締めた。
「成人おめでとう、レイム。」
耳元で囁くと、可愛らしい額にチュッと軽いリップ音をたててキスをした。
「ではさようなら〜。イヤリング付けて下さいネ〜。」
これ以上ないくらい真っ赤になって固まっているレイムから離れ、ブレイクはブンブンと手を振りながら去っていった。
次にレイムが動き出したのは五分後の事だった。
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