パンドラハーツ

□言えるはずがない!
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悶々とした気分でパンドラ内を歩いていると、後ろからカッポカッポという謎の足音と「レ〜イムさ〜ん。」と間延びした気の抜ける声が聞こえた。
それらの持ち主の事をちょうど考えていたために、ビクゥッと大袈裟に肩が揺れてしまった。

「ざ、ざざざ、ザクス!」

「ハ〜イ。どうかしたんデスカ?そんなに驚いて…」
ブレイクはレイムの顔を除き込んだ。その顔の距離の近さに、思わず飛び退くとブレイクがクックッと笑った。

「何か変デスヨ。どうしたんデスカ?レイムさーん。ねぇ、エミリー?」

『変な奴!ケケケケ!』

ブレイクは肩に乗せた青い不気味な人形に話しかけながら、両手のふさがったレイムの頬を突っついた。

「……っ、ちょっと来い!」

「えー?いいデスヨ。」

レイムは比較的人通りの少ない廊下に来ると、ブレイクを振り返った。ブレイクはニヤニヤとレイムを見ている。レイムの心中でも読めているのではないかと思うほどに。なんかツヤツヤしている気がする。

「んで、何ですカ?レーイムさん♪」

「いい年の男が語尾に音符を付けるな!……ぃ……」
「へ?」

「あ、あ、あ、ぃ、って!」
レイムの今の顔の色は、バルマもビックリの真っ赤だった。デコを大きく見せているせいで、下がった眉毛がよく見える。

「何ですカ?はっきり言ってくれないと分かりませんヨ?」

「お、お前!分かってるだろう!」

「まっさか〜♪」

早く早くと急かすブレイクに、レイムは大きく深呼吸した。

「ザクス!あ、あ、愛してりゅ!」

……………

…………

………

りゅ?

しばらくの沈黙の後、レイムは声にならない叫び声をあげた。
穴があったら入りたい。もういっそ、アヴィスでもいい。

レイムはダッと走り出そうとしたが、腕を強く掴まれた。

「は、離せえぇ!ザークシーズ=ブレイク!」

「嫌デスヨ!テコでも離しません!!」

暴れるレイムの身長に合わず細い腰をグイッと抱き寄せ、ブレイクはレイムの顎を掴んで自分の方を向かせた。

「ザク…!」

言葉を発しようとしたレイムの口を柔らかく塞ぐと、レイムはまた書類の山を落とした。眼鏡の奥の、髪の毛と同じハニーブラウンの瞳が見開かれた。
数秒後にゆっくりと唇を離すと、レイムの拳が飛んできた。
「危なっ!!ちょっと!?危ないデスヨ!レイムさん!?」

「うるさい!アホ!馬鹿ザクス!!禿げろ!変人!」

顔を真っ赤にして、口を押さえて怒鳴るレイムに、ブレイクはクスッと笑った。
「レイムさん!!!愛してマス!!!」

怒鳴り声をあげているレイムも怯むほどの大声で言うと、じゃ!と綺麗に敬礼をして去ったブレイクの背中をレイムは呆然と見つめていたが、ゆっくりとその場にへたり込んだ。

自分も素直に言えたらいいのに…
そう思っているのが丸分かりな表情をしているのが、彼には分かっているのだろうか?

曲がり角で某公爵家の令嬢が怪しく笑っていたのは後に分かった事である。






[後書き]
ギャグ?甘?なんだろ(笑)そうか、気の迷いだ!!←シャロンちゃんの陰謀です(笑)レイムさんの髪の毛と瞳はハニーブラウンっていうらしい!
ブレイクのキャラが分からなくなってきた…。甘くない…。

よし、盗んだバイクで走ってきます!←
行く先など分からぬまま!
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