ワンピース
□帰り道
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「…ったく、しゃあねぇな…どこ行くんだよ。」
諦めたらしいトラファルガーが後ろから聞いてきた。
「あー…カラオケだ!カラオケ行こうぜ!」
「カラオケか…なら、付き合ってやってもいいぜ?」
「素直じゃねぇの。」
「何か言ったか。」
「何でもねぇよ!殴んな!」
俺は信号が赤になったのに気づいてブレーキをかけた。バランスを崩したトラファルガーがギュッとしがみついてきた。
「…あ゛。」
「そのままつかまってろよ。危ねぇし。」
「俺に命令するな!」
トラファルガーはパッと手を離した。
「顔が赤いのは暑いからじゃねぇよな?トラファルガー?なんでかなー?」
「…っうるせえ!!黙って前見ろ!蹴るぞ!馬鹿!」
「ヘイヘイ。分かりましたよ。ツンデレ女王様め。」
また殴られながらも自転車を漕ぐ。後ろのツンデレ女王様はやっと静かになって、流れる景色をのんびり眺めている。
通りすがった青い袋を持った女子二人組が、俺たちを見て騒いでいたのはなんでだ?まぁ、いいか。
カラオケでは、トラファルガーが歌が上手いことを初めて知った。よく透る声で歌ってるアイツに、思わず見とれてしまった。
まぁ、俺はトラファルガーに「どこぞの閣下みてぇ」と笑われてしまった…というのは気にしないようにしよう。