"会いたい"

そう思うのは、我が儘な
ことなのかな?


「でよ!その時一護のアホがよー・・・」


恋次が現世に行ってから毎日の日課になっている伝令機でのやり取り。

恋次の提案で、最初の頃はすごく嬉しかった。
今日は何したとか、あの人がこうだった、とか、楽しい話ばかりだったし。
でもその反面、日に日に悲しくなっていくのも事実で。
恋次に、会いたい。
恋次に、触れたい・・・。


「〜だったんだけどさ、って聞いてるか?」

「え・・・あ、うん、聞いてるよ!」

「なんか、お前変じゃね?」

「へ、変なんかじゃないよ!」

「そうか・・?」


我が儘なんて言っちゃいけない。恋次だって遊びで現世に行ってる訳じゃないんだから。
・・・・でも。


「ね、恋次・・・・」

「ん?」

「・・・・っ会いたい、よぉ」


それは無意識に出た聞こえたか聞こえなかったかくらい小さな呟きだったと思う。

でも聞こえたのか、しばらくの沈黙が続き、恋次が言葉を発した。


「・・・わりぃ、一旦切るわ」

「・・・え?」


その瞬間、伝令機は切れて
プーップーッ、と言う機会音だけが虚しく鳴り響いた。


「嫌われちゃった、かな。」


そりゃあそうか、こんな我が儘言う彼女なんて嫌だよね・・・

恋次は副隊長だし、格好良いし、優しいし、モテる。
私なんかよりお似合いの人が居るだろう。
でも・・・側に、居たいよ。
恋次の隣で他の女の子が笑ってる姿なんて、見たく無い。

このくらい我慢しなくちゃいけないと、さっき言った言葉に後悔した。あんな事、言わなきゃ良かった・・・


―そんな事を考え、何時間そうして居たのだろうか。
突然、凄まじい足音がするや否や部屋の戸が勢いよく開いた。

そして、そこには息を切らせて額に汗を掻いた恋次が立っていた。


「え、な、なんで?どうして恋次がここに、居るの?」


だって、恋次はさっきまで現世にいた筈で・・・


「お、お前が、会いたいって言ったんじゃ、ねーか、」


恋次はまだ整っていない呼吸で、絶え絶えに言葉を伝いながらこっちに向かって歩いてきた。
そして、私の前まで来ると、優しく抱きしめてくれた。


「・・・寂しい思いさせて、悪かったな」

「私こそ、我が儘言ってごめん・・・恋次だって遊びで現世に行ってる訳じゃないって、分かってるんだけどっ・・呆れちゃった?」

「アホか。何で呆れるんだよ。それに、そんな事我が儘の内に入らねえよ」


そう言っていつもみたいに優しい笑顔で笑いかけてくれた。


「なぁ、」

「ん?」

「俺はさ、一応副隊長だし現世に行きたくなくてもそんな事言っちゃいけない立場だけど・・・」
「・・・うん。分かってる」

「でもよ、お前が寂しいって思ったら何時でも、何処でも飛んでいくから。だから不安に思ったり、何かあったら直ぐに言え。今日みたいに一人でため込むな。俺は好きな女を一人で泣かせる様な事、したくない」

「・・・ありがとう、恋次」

「おっ、おう」


自分の言ったことに照れたのか先程よりも強い力で抱き寄せられた。

私は、ずっと欲しかった温もりに顔を埋めて告げた。


「ね、恋次」

「ん?」

「・・・距離は離れてても、気持ちは一つだよね?」

「当たり前だろ。俺にはお前以外側に居て貰う気無いから、さ。もうお前以外は好きになれねぇよ。でもそれはお互い様だろ?」

「うん・・・!」


それから恋次はしばらく話してから現世へと戻ってしまったけど、もう大丈夫。

恋次の言葉は、私の何よりの安定剤。だから不安になった時は、またその腕で抱きしめて、好きだと言ってね・・・?

私も、何度でも言うよ。
恋次が好きだって―





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