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□息がまともに出来ません(羊豚)
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「ねえ、ポッキーゲームって知ってる?」
「えっと…」

ポッキーゲーム、聞き覚えのない単語に戸惑っていると、目の前の彼女はにこっと可愛らしく微笑んだ後コンパクトな袋から一本の細長いお菓子を取り出した。

「お菓子を使ったゲームなの、…やる?」
「面白い?」
「もちろん!」
「じゃあやる。」
「きーまりっ」

可愛らしい笑顔が再びこちらへと向けられた。この笑顔を見れただけでも賛成したかいがある。…なんてことをぼんやり思っていたせいか、ラミーちゃんの顔がすぐ近くに来るまで今の状況を把握出来ずにいた。

「…って、ええ!?」
「なに慌ててるの?」
「ラミー、ちゃ…顔、近いよ…」
「だってこういうゲームなんだもん。私がこっち側をくわえて、トリュフくんはそっち側」
「えっ、え?」
「で、だんだん距離を縮めてくの」

縮めてって、最終的にはどうなるの。聞きたかったけど、羞恥からか呂律と思考が回らなくなっている今の状況から聞き出すことが出来なかった。ぽきぽきと小さな音を立てて短くなっていくそれを見て心臓の鼓動が速まり顔が熱くなっていくのを感じた。

「――っ」

きゅ、と目を瞑り、唇に来るはずの柔らかい感触を待ち続けた。

ボキッ―――

「あ、」
「……え?」

何かが折れたような鈍い音を共に聞こえたのは、ラミーちゃんの唖然とした間抜けな声。

「あーあ、失敗」
「え、え、え?」
「残念!もうちょっとでトリュフくんとちゅー出来たのにー」
「…っ!」
「ふふっ、どうだった?ポッキーゲーム」

少しだけ頬を赤らめ、笑顔で問う彼女に向かって僕はこう答えた。



(もう一回やる?)
(もうやらないよっ!)

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