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□さようなら、愛していました(軍潔)
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彼が私を避けるようになったのはいつ頃からだっけ。理由なんて分かりたくなかったのだけど優しい彼のことだ、大体予想は出来てしまった。私の頭を撫でてくれた彼の優しい笑顔を思い出しながら、右手を自身の頭に添えた。虚しい、全然気持ちよくない。やっぱり貴方がいなくちゃ私―、自然と涙が溢れた。

「ペチュニアさん」
「!…え、」

聞き覚えのある優しい声に顔を上げるとそこには期待を裏切らない人物が私を見つめていた。

「フリッピーくん…」
「…今まですいませんでした」
「いいの!私ね、貴方に伝えたいことが―」
「自分の気持ちをハッキリ伝えにきたんです」
「フ、リッピーく…」
「別れましょう」

耳を塞ぎたかった。だってこうなることは予想出来ていたから。優しい彼が私のために、決めてくれたこと。殺人鬼の自分から私を遠ざけて、守ろうと…、だけど、

「私、そんなの嫌」
「ペチュニアさ…」
「嫌だ嫌だ嫌だ!私は平気だから…フリッピーくんの側に居たいよ!」
「………」
「フリッピー、くん…」
「ごめん、なさい」

悲しそうに顔を歪めて立ち去るフリッピーくんを、私は引き留めることが出来なかった。こんなのって酷い。去り際に渡された一枚の紙切れにはうっすらと血が滲んでいて小さな文字で記された私宛のメッセージが一つ、残されていた。



(過去形の愛に意味なんて、ないじゃない)
(残された私の身にもなってよ)

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