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□幼さ故にその想いは恐ろしく純愛(微抱)
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「ねえ?カドルスは私が好きなんでしょう?」
「……」
「じゃあ貴方の大切なお友達を壊していく私でも、同じように愛してくれるかしら」
「……」
「そうよね、貴方は私を愛しているんだもの」
「…ギグルス、君はおかしい。どうかしてる」
「あら、意外な答え」

くすりと妖艶に微笑む彼女に逆に聞き返してやりたい。ではどんな答えなら満足して頂けるのでしょうか?

「どうかしてるのはカドルス、貴方じゃないの?」
「どうして、」
「貴方には私が居ればそれでいい。私だけ見ていればいいの。だからね、他の人はいらない」
「…何バカなこと言って…」
「なのに貴方は私を見てくれない。私を捨ててすぐ他の人の所へ行ってしまうの」
「……」
「じゃあその"他の人"が全て居なくなってしまえば解決するって思って、」
「なっ!?」
「だから全部全部、殺しちゃったの!」

心底楽しそうに笑う彼女はやはりどうかしてる、そう思った。辺りに転がる遺体の数々はこの村では珍しいものではないけれど、長時間放置していたためか強烈な異臭に吐き気が込み上げてきた。これを全て彼女が?何故こんな酷いことを、

「ねえ、これで私達二人きりよ」
「………」
「カドルス、大好きよ」
「……でも僕は―」
「貴方も私が好き、そうでしょう?なら愛する私に殺される、それは本能よね。そうよね」
「!何をっ、」
「じゃあね、バイバイ」

胸に抉られたような鋭い痛みが走った。いや、実際抉られてるかも。惨めに死んでいく僕をまるで嘲笑うかのように見下す彼女は遠退いていく意識の中でこう言った。

「愛してる。」



(君は私だけを見てればいいの)
 

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