ブック(ハピツリ)

□※蟻妹と蟻喰
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舌を引き契って手首を切り落として。さて、次はどうしようかアリクイさん。床に倒れ込みぶるぶると身体を震わす彼を見て私は頬を緩めた。彼から流れる大量の血液を見ると、死ぬのも時間の問題かもね。でもまだ死んではダメよ、もっと私を楽しませて。もっと可愛い呻き声を聞かせて。もっとその可愛いお顔を私に見せて?くすりと笑みを溢しながら私は彼の腹部を蹴りあげた。ぐふう、苦しそうな呻き声を聞いて口角が自然とつり上がる。ああ、この感覚たまんない。

「あのねアリクイさん、私の家族は貴方のこと嫌いみたい」
「あ…あ、が」
「だけど私は貴方が好きよ。みんなは認めてくれないけど、私は貴方が大好きなの。ねえ、これって可笑しいのかな?狂ってるのかな?だってよりによって敵である貴方に恋するなんて。やっぱり私、イカれてるのかな。でもそれはしょうがないことだと思うの。だって好きなものは好きなんだもん。嫌いなものは好きになれても好きなものは嫌いになれないでしょう?やっぱり私は貴方が好き。ねえ、貴方は?」

一通り喋り通した後、足元に転がる彼に視線を戻すと彼はもう息をしていなかった。勝手に死んじゃうなんて酷い人ね。

「おやすみなさいアリクイさん、大好きよ」


(グッバイ、グッナイ)

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