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□頭の中は、君一色(抱微)
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気持ちを伝えるって簡単なことだと思っていたけど実はとても難しいことだと知った。現に今だって僕が心から愛している恋人のギグルスが「私のこと本当に好き?」だなんて聞いてきた。普通好きじゃななかったら抱き合ったり二人きりで会ったりなんてする訳がない。僕はため息をついた後ゆっくり口を開いた。

「いきなりどうしたの」
「カドルス…昨日、可愛い女の子と歩いてた…」
「……ああ、」

あのことか、と昨日女の子に道を聞かれた時のことを思い出した。別にデートしてた訳でも一緒に歩いていた訳でもない。もっというと自分だってカッコイイ男の人と喋ってるじゃないか。言うと怒られるからあえて言わないけどさ。

「あれは道を聞かれただけだよ」
「嘘つき」
「本当だよ、僕が好きなのはギグルスだけだ」

彼女が急に黙り込んだため、重い沈黙が訪れた。流石にベタすぎたかな、と苦笑いを浮かべた。

「……へへっ、そうだよね」

(……単純)

途端にぱああっと明るい表情になるギグルスを見て頬を緩ませた。ワガママですぐ怒るけど、何だかんだいって彼女は可愛い。外見はもちろん、性格が。にこっと微笑んで手を差し伸べれば彼女は少し頬を赤らめながらも素直に従い、僕の手に自分の手を重ねた。

「カドルス、大好きよ」
「ん、僕も」



(君は知らないだろうけど)
(こう見えてベタ惚れなんです。)

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