Novel-bullet 2(CP)

□秘蜜〜真紅の誓い〜 2
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*SIDE Kyle*


 俺があの不思議な青年、カムイさんと出会って数日後。


 僕は婚約者と共に結婚式をあげることになった。

 彼と――カムイさんと初めて出会った、あの教会で。


 挙式が行われる少し前。俺は漆黒のタキシードに身を包んで教会の外に出て、気持ちを整理していた。

 待ち望んでいた婚約者との結婚――。俺の胸は自然に高鳴っていた。


 だけど、なぜか俺の頭からカムイさんの姿が離れなかった。

 カムイさんが俺にキスをしてきて、それを俺が突き飛ばした時の、彼の悲しそうな顔。

 それが、俺の脳裏から離れない。


 あれから、カムイさんの姿は一度も見かけなかった。小さな島だから、どこかで会えると思っていたのに。


「……」

 俯いて小さく息を吐いた、その時だった。


 不意に、誰かの足音が聞こえた。

「――」

 俺は顔をあげ、辺りを見回す。すると。


 教会の前に、一人の少女が佇んでいた。


 緑の長い髪を二つに縛り、漆黒のドレスに身を包んだその少女は俺と目が合うと、少し儚げに笑いかけてきた。



 その笑みを見た瞬間。


 俺の胸が唐突に高鳴り出した。

 彼女を見ているとどこか落ち着かなくなる。呼吸がつまり、全身が震えを訴える。体温も上昇していくのが分かった。


 これが――恋、なんだろうか。


「――初めまして」

 少女が口を開いた。澄んだソプラノの声だった。

「私はミクリア=クルト。あなたは?」

 少女が自己紹介をして、俺に聞いてきた。

「俺はカイル=ローゼンベルグ。ミクリア、だね」

 ミクリアは俺の言葉に頷いた。


「カイルさん。初対面でこんなことを言うのも難なのですが……」


 言って、ミクリアは俺の前に手を差しのべた。




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