Novel-bullet 2(CP)
□秘蜜〜真紅の誓い〜 2
2ページ/3ページ
*SIDE Kyle*
俺があの不思議な青年、カムイさんと出会って数日後。
僕は婚約者と共に結婚式をあげることになった。
彼と――カムイさんと初めて出会った、あの教会で。
挙式が行われる少し前。俺は漆黒のタキシードに身を包んで教会の外に出て、気持ちを整理していた。
待ち望んでいた婚約者との結婚――。俺の胸は自然に高鳴っていた。
だけど、なぜか俺の頭からカムイさんの姿が離れなかった。
カムイさんが俺にキスをしてきて、それを俺が突き飛ばした時の、彼の悲しそうな顔。
それが、俺の脳裏から離れない。
あれから、カムイさんの姿は一度も見かけなかった。小さな島だから、どこかで会えると思っていたのに。
「……」
俯いて小さく息を吐いた、その時だった。
不意に、誰かの足音が聞こえた。
「――」
俺は顔をあげ、辺りを見回す。すると。
教会の前に、一人の少女が佇んでいた。
緑の長い髪を二つに縛り、漆黒のドレスに身を包んだその少女は俺と目が合うと、少し儚げに笑いかけてきた。
その笑みを見た瞬間。
俺の胸が唐突に高鳴り出した。
彼女を見ているとどこか落ち着かなくなる。呼吸がつまり、全身が震えを訴える。体温も上昇していくのが分かった。
これが――恋、なんだろうか。
「――初めまして」
少女が口を開いた。澄んだソプラノの声だった。
「私はミクリア=クルト。あなたは?」
少女が自己紹介をして、俺に聞いてきた。
「俺はカイル=ローゼンベルグ。ミクリア、だね」
ミクリアは俺の言葉に頷いた。
「カイルさん。初対面でこんなことを言うのも難なのですが……」
言って、ミクリアは俺の前に手を差しのべた。