Novel-bullet 2(CP)

□フランケンシュタインはヴァンパイアに恋をする
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「家までおいで」

 突然俺に電話をかけてきたそいつ――折原臨也は、その一言だけ俺に告げて電話を切った。

 普段は殺したいほど憎んでいるあいつの家だが、電話越しにあいつから「家までおいで」と言われた時。

 俺はあいつの家に行かずにはいられない。


 合図だからだ。


 俺の中の奇妙な欲求が満たされるという、合図。



 普段はほとんど使わない電車を使って、新宿にあるあいつの家に向かう。

 普段は入るのも躊躇う様な高層マンションの最上階の一室。

 それが、今のあいつの家だ。

 奇麗すぎて不気味にすら思えてしまう大理石の玄関ホールを抜け、ハイテクな雰囲気が漂うエレベーターに乗る。

 あいつの家で自分の中の欲求が満たされると思うと、あいつの家に行くことへの躊躇いや苛立ちも薄れていった。


 エレベーターが最上階にたどり着く。

 早足で俺はエレベーターから出て、マンションの一番奥にあるあいつの家の前まで歩いた。

 家の前のインターホンを押す前に、玄関のドアが開いて憎らしいあいつ――臨也が顔を出した。


「……ハロー、シズちゃん」

 臨也が笑う。

 赤い二つの目が俺を捕らえた。

 その端正な顔には、真っ赤な血の跡がついている。

「……っ!」

 臨也の顔についたその血を見て、思わず息を呑んだ。

 心臓の鼓動が激しくなり、呼吸が荒くなって顔に熱が集まるのが分かった。

「あは。シズちゃんもう興奮してる。そんなにエロい顔しないでよ」

 殺したくなるから――。


 臨也は俺にそう告げながら背を向け、家に入る。

 俺も後に続き、玄関のドアを後ろ手で閉めた。




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