Novel-bullet 2(CP)

□秘蜜〜真紅の誓い〜 3
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 大陸に渡った俺とミクリアは、大陸に住む親戚たちの援助を受けながら、何とか二人で生活を続けていた。


 そしてある日。


「ただいま」


 親戚の手引きで通い始めた仕事場から、俺は自宅に帰ってきた。

「お帰りなさい」

 家事をしていたミクリアが俺を出迎えた。まだこれから二人の生活はどうなるか分からないけれど、この生活は十分幸せだった。


「あ、カイル。私これを貰ったの」

 ミクリアが言いながら、懐から何かを取り出した。


 それは、小さなプラチナが付いたシンプルな二つの指輪だった。


「あなたの伯母様から貰ったの。カイルと二人で付けなさいって」


 ミクリアが指輪の説明をした。俺の伯母は、伯父と共に大陸での俺とミクリアの生活を快く援助してくれた人物の一人だ。


「伯母が指輪を……?」

 俺はミクリアの持っていた二つの指輪の内一つを手に取る。シンプルだが、とても綺麗な指輪だ。

「……何だか、結婚指輪みたい」

 ポツリ、とミクリアが漏らした。丁度俺も同じことを考えていたところだった。

「奇遇だな、俺も……そう思っていた」

「まだ時間はかかるけれど……いつか必ず結婚式を挙げましょう。これは、それまでのエンゲージリングという事にして」

 ミクリアが小さく笑いかけた。


 そう、いつか。

 ミクリアとは近い内に挙式を挙げたいと考えていた。けれど今は、まだその為の費用が足りなすぎるため、挙式を挙げられず同棲生活を続けるばかりだった。


「……エンゲージリング……」

 手にした指輪を付け、それを眺める。この指輪が彼女とのエンゲージリングだと考えると、自然に笑みが溢れた。


「――きっと、幸せになれるはずだから……今はこの指輪を」

 ミクリアが残ったもうひとつの指輪を付け、愛しそうに眺めた。




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