一瞬の瞬き
□***冬***
2ページ/8ページ
『ふぃ〜寒いっ!!』
廊下を抜ける冷たい風に体を震わせ太陽の当たる屋上へと向かう。
昼一番に走って向かったから誰もいないだろう、と踏んでいた。
だから勢いよく扉を開いたのに。
【♪ミードーリータナービクー♪】
『・・・恭也・・・』
歌うヒバードを寝そべって眺めている恭也がいた。
恭也はあたしの声によりこちらに一瞬目を向けたが本当に一瞬だけで、次の瞬間にはヒバードへと視線を戻していた。
『む・・・なんかコメントとかしてよ』
「・・・何しにきたの?」
ヒバードを指に乗せこちらを見ずに質問される。
『日向ぼっこ、だけど・・・』
「ふーん。」
答えればそれだけ言って会話は終了。
質問したんだからもっと話しを続けてくれればいいのに、なんて。
黙っていればスッと横により再び寝転ぶ恭也。
「何突っ立ってるの?」
『へ?』
「日向ぼっこしに来たんでしょ」
目をつぶり太陽を一身に浴びている彼を見て隣を開けてもらえたことに初めて気づいた。
『うんっ♪』
寒くても
暖かい日光
暖かい心遣いに
心まで暖かくなっちゃったよ