リボーン創作小説

□代わりのキミ
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「雲雀、さっ」

「黙って」

呼ばないで。その声で、僕を呼ばないで。

聞きたくなくて、雲雀はその口を塞ぐ。

「んっ」

柔らかい髪に、大きな瞳。顔だけみたら、頼りない印象。


キミは、似てるね。

僕が好きなあの子に。

草食動物みたいに弱くて、たまに強くなったりして分からない、あの子に。

今ではすっかり逞しくなった。

……誰にも頼らないくらいに。

「面白くないな」

「っ……ふ」

名前も知らないキミは、可哀想だ。

ただ少しだけ似てるという理由だけで、僕の一度の気紛れに付き合わされて。

「ごめんね」

自分の下で涙を溢している人に、雲雀は謝る。

身勝手な我が儘に引きずり込まれて、可哀想だから。

「謝らないで……」

「っ」

頬に添えられた手。瞳から溢れる雫。


錯覚だ。

似ているだけ。

本物の君じゃない。

分かってる。

でも、それでも…………。


「―――好きだ、」

まるで君を抱いている錯覚に陥った。

言わずにはいられなかった。

この想いを口に出さないではいられなかった。

――――本物の君には、言えないから。




***




「遅いよ、雲雀さん」

朝に帰ると、出迎えなんてないはずなのに出迎えがあった。

「…なんで沢田綱吉がいるの」

スーツに身を包んだ、今はファミリーをまとめるボスとなっているツナがいた。



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