秘める恋
□重なる想い
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「……唯人」
「兄、さん……」
僚に寄りかかり、唯人は息を整える。
「――……好きだ、唯人。ずっと昔から、今でもずっと」
離さないと、僚は唯人を腕の中に包み込む。
「俺も、好きだよ」
「誰も代わりになれないんだ。俺は、唯人だけが好きだ。気付いた時からずっと、たとえ従弟でも、俺にはお前しかいなかった」
「……兄さん」
吐き出される。
今まで言えなかった、秘めていた想いが。
「やっと……やっと届いた」
「苦しませて……ごめんね」
「いや。俺も亜弥の事で悲しませた。ごめんな」
「兄さんが謝ることっ」
悪いのは、気持ちを秘め続けることに疲れて、僚を好きでい続けられなかった自分だ。
唯人は顔を上げて首を振る。
でも、その時に見たのは僚の幸せそうな顔。
「……好きだ、唯人」
「うん。俺も」
「好きだ」
「……」
「離れたくない」
変だと思ったんだ。
だって、必死なんだ、兄さんが。
いつも余裕があるのに。
逃げ場がないみたいに、俺に好きだと言って抱き締めるんだ。
「離れたくないよ、唯人」
祈るように、僚は言う。
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