リボーン創作小説

□代わりのキミ
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「雲雀……さん」

叙々に近付く二人の距離。狼狽える、ツナ。

分かってないの?

そんな怯えた顔が、余計にそそるって。




「おい」




あと少しで唇が重なるという時に、よく知った声が邪魔をした。

「り、リボーン!」

「……赤ん坊か」

「リボーン、見てたの!?」

「よう、雲雀」

「……分かってるよ、赤ん坊」

君が言いたい事は、痛いほどにね。

雲雀はツナから離れる。

「ツナ、獄寺が探してたぞ」

「え?獄寺くんが?…なんだろう」

ツナは小走りで雲雀の横を通り過ぎた。

一瞬、引き止めたい想いに駈られた。が、リボーンを視界に入れて思いとどまる。




「…今日も朝帰りか」

「君にまで注意されるの?」

朝帰りの理由を、赤ん坊の君が、一番分かるのに?

「いや、しない」

「そう。じゃあ僕は帰るよ」

「……約束は、守ってるよな」

「“立派なボスになるまで、黙ってろ”でしょ」


リボーンにいち早く気付かれた時、された約束。

色々な条件をのみ、雲雀はそれを守っている。


「いつまで、守れば良いの」

いつまで、この気持ちを抑え続ければ良いの?

「……あと、少しだ」

「ふぅん、少し……ね」

「ツナが心配してる。夜は程々にしろ」


理由を知ってる君が、それを言う?

本人にぶつけない為に、代わりで埋め合わせしてる僕に、それを言う?


「…赤ん坊の頼みでも、それは無理だよ」

「…………」

「衝動を抑える為なんだ。無くなったら、本物に行くよ……?」

それでも良いのかとリボーンに言えば、苦い顔をする。

過保護すぎだよ、赤ん坊。

僕があの子を壊さない為に、肉食動物に鎖をかけてる。

でも、たとえ強固な鎖でも、目の前に好物な獲物があれば、時に肉食動物は鎖さえ食いちぎって獲物を狙う。


「僕も、あと少しだよ、赤ん坊」


雲雀はそう言い残し、また夜に出掛ける準備をしに行った。



しばらくは、あと少しだけ。

本物の君じゃなくて、代わりのキミで我慢するよ。

本物の君を壊さない為に、代わりのキミを壊す。


その為に僕は…………夜を歩く。


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