リボーン創作小説
□夢の中で。
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「……乗っ取っても良いよ、骸」
ツナは囁くように言った。
「……何言ってるんですか?」
「乗っ取ってくれたら、ずっと一緒いられるでしょ?骸は無茶しないし、精神だけでも会話出来る」
クロームが羨ましいと思う時がある。なぜなら、常に骸を感じることが出来るから。
「……なんで君はそんな事を言うんですかね」
「ごめん。変なこと言ったよね。……今俺は、こうして夢の中だけでも骸に触れて話せるだけで嬉しいよ」
呆れたように言った骸に、ツナは訂正する。
「随分と謙虚なんですね」
骸はツナの頬を撫でた。
その手の感触に、ツナは目を瞑り浸る。
「だって、十年後の世界では骸に実際に会える確証はないから。多くを求めたら、夢の中でも会えなくなるかも」
十年経っても、まだ骸はあの牢獄に捕まっている可能性が高いだろう。だとしたら、会える可能性は低い。
「僕は、今の状態は不本意です。満足出来ません」
骸は愛しそうに、ツナの髪に触れる。
「……乗っ取りたいから?」
「ちょっと違います」
「じゃあ、なに?」
「触れるだけでは足りないからです」
骸はツナの唇を指でそっと撫でた。
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