遠回りの恋
□花火
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中学三年生になり、周りは公立中学校だったのでさすがに受験の雰囲気に入った。それはもちろん、晃輝と秀也も例外ではない。
同時に、晃輝の中で“親友”という関係に違和感を抱かせることにもなったきっかけがあった年だった。
「晃輝ってどこを受ける予定?」
「んー、一応西条かな」
「西条か……」
どちらかというと西条高校は平均より上のランクの学校だった。
「何?お前も西条受けるつもりだったわけ?てっきり東條かと思ってた」
西条と比べて東條は平均より少し下だったが、運動家が盛んだったのでてっきり秀也はそこを目指していたかと思っていた。
「だって、晃輝と離れるだろ」
「……名前は西と東だけど、て言うほど離れてねぇよ?それくらい、知ってるよな?お前でも」
「知ってるわ!でもさ……それでも会う時間が減るだろ」
うなだれて言う秀也を見て思わずため息が零れた。
「お前な……もう高校生になるんだぜ?」
「それが?」
言われてる意味が分からないと言いたげに秀也は首を傾げる。それは冗談ではなく、本気で理解出来ないという表情だった。
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