遠回りの恋
□真実
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「親友を止めるつもりはねぇから」
そうそう。
俺が親友を止めるって言ったら、秀也に断固拒否されたんだっけ。
そしてまだ、俺は秀也に押し倒されている状態だ。
「俺には、お前だけなんだよ」
「志織さんと別れたからか?俺は代わりか?」
押さえつけられている腕が痛い。
「そうじゃない!」
「じゃあ、なんで別れたんだよ」
「……言えない」
「………秀也に言えない事があるんなら、俺も去った本当の理由を言わなくていいよな」
身体を起こそうとして、半ば強引に起き上がった。だが、立ち上がろうとしたその時。
「俺に、キスしたくせに」
「……」
さっきも言われた。それがどうした、とそのまま無視して動作を開始する。
「その後、泣いてた。俺の名前を呼んで泣いてた」
そこまで知っていたのかと、流石に振り返った。
「……何で、知ってたんだ」
「逆に、なんでそんなに隠すんだ。なんでそんなに、弱気なんだよ」
「どういう意味だよ」
「自信持っていいのに!」
「だから、意味わかんねぇよ…」
晃輝が今度こそ立ち去ろうとしたら、後ろから不意に引っ張られて秀也に抱き締められた。肩に、秀也の頭が乗る。
「好きだ」
「………………は?」
こいつ、何言ってんだ?
「好きだ。晃輝以外いらねぇ」
「そんなの、いらねぇよ。黙れ」
友人としての好きなんていらないんだよ。俺の好きは、それとは違うんだ。
だから、そんな好きなら言葉に出さないでくれ。
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